何者かによって、インターネットの重要な機能であるドメインネームシステム(DNS)に対して攻撃が仕掛けられた。DNSは、インターネットのアドレスに、長い数字ではなくドメイン名を利用できるようにするためのシステムだ。
米国時間11月30日から12月1日にかけて、世界に13あるルートネームサーバネットワークに対して分散型サービス拒否(DoS)攻撃が仕掛けられた。
root-servers.orgが公表したインシデントレポートによると、「すべてではないが、ほとんどの」DNSルートネームサーバに、毎秒500万件のクエリが送られた。これは、一部の通常のクエリの妨げになるには十分な量のトラフィックだ。
「このインシデントのトラフィックにより、一部のDNSルートネームサーバインスタンス付近のネットワーク接続が飽和した。これにより、一部の場所から一部のDNSルートネームサーバに対する、正規の通常のクエリにタイムアウトが発生した」とレポートにはある。
Verisignが管理するAルートゾーンの統計によれば、過去2年間、1日に受信するUDPクエリの数が100億件を超えることはなかった。しかし今回のインシデントでは、1日に500億件を超えるUDPを受信している。
Verizonが運用するAルートゾーンに対する1日辺りのクエリ数は、11月30日に急増した。
提供:Verisign
ところが、ルートサーバシステムには冗長性があるため、攻撃による影響は小さかった。インシデントレポートによれば、エンドユーザーはこの攻撃について「最初にほとんど知覚できないほどの遅延」を感じる場合がある以上の影響は受けなかったという。
DNSルートサーバに攻撃を仕掛けた者の正体は分かっていない。レポートにもあるとおり、発信元IPアドレスは簡単に偽ることができるため、攻撃の発信元がどこかを特定するのが難しい。
しかしこのインシデントは、ISPがネットワークイングレスフィルタリングを実装すべきであることを示唆している。これは、IETFが発行しているBCP-38で、ベストプラクティスとされている。この措置を行うことで、ISPのネットワークで、発信元IPアドレスを偽ったパケットによる攻撃を防ぐことが容易になる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。