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“組織犯罪”サイバー攻撃に立ち向かう術--NTTコミュニケーションズの専門家に聞く - (page 3)

構成・取材 怒賀新也(編集部)

2016-01-21 11:00

組織犯罪には組織で勝つ

――これまでの話を総合すると、サイバー攻撃対策の大切さを経営陣にどう理解させるかが、対策強化の最も重要なポイントという印象も受ける。サイバーリスクやセキュリティ技術の複雑性が増す中で、どうすれば、経営陣の理解を深めることができるのか。

 企業の経営陣が欲しがっているのは、「何に、いくら投資すればいいのか」の判断材料です。したがって、自社のサイバーリスクをしっかりとコストに換算して示すことが何よりも重要です。サイバー攻撃対策は投資です。ですから、ROI(投資対効果)の明確化は絶対に必要なのです。とはいえ、日本の経営層の方にも、自らサイバーセキュリティに敏感になっていただきたいとも思います。

 今日、“攻めのIT”への投資が活発化しつつありますが、その中で“守りのIT対策”がなおざりにされているような危機感を強く覚えます。セキュリティリスクを軽減するための投資は、事業に対する周囲の信頼を確保し、その成長・発展を支えるための投資です。その観点から、攻めと守りの投資をバランスよく行い、必要なセキュリティ技術、そして人材への投資もしっかりと行ってもらいたいと考えます。

――ところで、先に触れられたリスクマネジメント強化の最終ステップ「グループの底上げ」ですが、これも難度の高い取り組みに感じます。それを推進することの意義はどの辺りにあるのか。


竹内氏は自社の業務に精通したセキュリティ人材を育てることが重要と指摘した。

 この取り組みは、リスクマネジメントの方向づけをグループ全体、あるいは、サプライチェーン全体で共有し、定期的にチェックしながら、セキュリティレベルを底上げしていく施策です。確かに、その遂行は簡単なことではありませんが、何らかの事態が発生した際に、利害関係者に説明責任を果たし、信頼関係を強化していくためには不可欠と言えるでしょう。

 また今日、サイバー攻撃から狙われているのは一つの企業、一つの組織ではなく、日本全体です。そして、攻撃を仕掛けてくる相手は組織だった犯罪集団です。彼らは、企業の“個の力”で太刀打ちできるような相手ではありません。つまり、守り手側の対策が企業ごとにバラバラの状態では、“攻撃者優位”とされる今日の状況を変えることは不可能と言えるわけです。ですから、企業のグループ全体、サプライチェーン全体、もっと言えば、業種・業態の壁を超えた産業界の総力を挙げて、サイバー攻撃に立ち向かっていかなければならないのです。

――サイバー攻撃対策での企業間連携を前に進めるために何が必要とされるか。

 企業・組織・業種・業態の垣根を越えて、サイバーセキュリティに関連した脅威情報やインシデント情報を交換・共有する場を作ることです。その上で、セキュリティガバナンスを日本全体として確立していく必要があると考えています。

 脅威情報やインシデント情報の共有は、技術面での施策を高度化させるうえでも重要です。例えば、今日のサイバー攻撃対策では、攻撃の前兆をとらえることが大切とされていますが、そのためには、他で発生したインシデントの情報に基づく解析が必要です。ですから、CSIRTのコミュニティや各業界のISAC(Information Sharing and Analysis Center)に参加して、脅威やインシデントの情報/インテリジェンスを広く入手できるようしておくべきです。

 また、有力なSOC(Security Operation Center)事業者には、さまざまな顧客のシステムに対する監視を通じて、脅威に関するインテリジェンスが豊富に蓄積されています。ですから、解析のある部分をSOC事業者に任せるという手も有効なはずです。

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