アプリケーションデリバリコントローラを提供する日本ラドウェアは1月21日、2015年の主な攻撃の傾向や業界ごとのセキュリティ対策の現状の振り返り、2016年におけるセキュリティを展望するレポートを公開した。2015年はあらゆる業種が攻撃対象となる一方で、対策ができている企業組織は少ないことが分かった。
2016年における攻撃は、“高度持続型サービス妨害攻撃(Advanced Persistent DoS:APDoS)”の登場の登場によってより激しいものとなり、ウェブアプリケーションインフラを狙う進化したボットによって引き起こされる攻撃が増すと予測している。
Radwareのセキュリティソリューション担当バイスプレジデント、Carl Harberger氏は「セキュリティ対策の最前線に立つべきは、もはや人ではない」と指摘。
「進化し、自動化された攻撃や、次々と登場し続ける新たな攻撃手法による終わりのない攻撃にさらされる今、人の手によるセキュリティ対策や場当たり的な攻撃への対処は過去のものとなる。人の力に頼るサイバー攻撃対策は終わりを告げ、良いボットによる自動化されたサイバー攻撃対策の時代がやってくるのです」(同)
同レポートは、リアルタイムで攻撃を動的監視し、緩和策を実施するRadwareの緊急対策専門チーム、Emergency Response Team(ERT)がセキュリティコミュニティーにおける活用を目的に作成したもの。そのERTが日々のサイバー攻撃に対処する中で得た知見と、第三者としてのサービスプロバイダの意見として、以下の予測をしている。
ランサムウェアの増加
攻撃者はサービスプロバイダーをランサムウェア攻撃の対象とし、希望の金額が支払われなかった場合にはDDoSおよびSSLフラッドの両方を仕掛けてくる。
攻撃手法の多様化および進化
攻撃は日々、自動化と進化を続けている。バーストアタックやAPDoSといった新たな攻撃技術によって回線飽和型攻撃が増加し、また動的なIP攻撃により、マニュアルによる対策はほぼ無力と化す。
教育およびホスティングサービス業界を対象とした攻撃の増加
2015年のRadware調査において、いくつかの業種の脅威レベルに変化が見られなかった一方で、教育およびホスティングサービス業界だけはリスクレベルが「中」から「高」に引き上げられた。これらの業界に属する企業組織は他に比べてDoS/DDoS攻撃をはじめとするサイバー攻撃の対象となりやすく、過去にない頻度で攻撃を受けている。
自動化セキュリティの必要性の増加
APDoSや、ユーザーに成りすますボット、ダイナミックIPアドレスなどの飽和型攻撃の増加に伴い、より高度な検出および攻撃緩和策が求められる。