富士通セミコンダクターは2月18日、クワッドSPIインターフェースの不揮発性RAM市場では最大容量となる、4MビットFRAM(Ferroelectric Random Access Memory:強誘電体メモリ)「MB85RQ4ML」を開発し、サンプルの提供を開始したと発表した。
本製品では容量のみならず従来製品の約4倍でデータを読み書きできる高速性も実現しており、不揮発性メモリの特性と合わせ、ネットワーキング、RAIDコントローラ、産業用コンピューティング分野での使用に最適としている。

MB85RQ4MLのパッケージ(富士通セミコンダクター提供)
FRAMとは、強誘電体膜をデータ保持のキャパシタに利用した不揮発性メモリで、FeRAMとも呼ばれる。電源を切っても内容を保持し、且つデータの高速な書込み動作、低消費電力、書換え回数が多いといった、ROMとRAMの長所をあわせ持つことが特徴。同社では1999年より量産を開始しており、これまでにもFRAMの特徴を生かして、ウェアラブル市場やIoT市場向けにFRAMを使用したバッテリーレスソリューションを提案してきた。
今回のMB85RQ4MLは、不揮発性RAMのインターフェースに対する高速化の要求の高まりに応えて開発されたもので、同社のFRAM製品群では最速のデータ転送速度をもつ4MビットFRAMとなっている。
同製品は1.8V単一電源で動作し、4本の入出力ピンをもつクワッドSPIインターフェースを採用、108MHz動作によって54Mバイト/秒でのデータ転送を実現した。当社の従来品では、16ビットの入出力ピンをもつ44ピンのパラレルインターフェースの4MビットFRAMが一番速い13Mバイト/秒であったのに対し、本製品は少ないピン数でその約4倍の速度でデータのリード/ライトが可能となっている。

同社従来品とのデータ転送速度比較(富士通セミコンダクター提供)
また、連続的に設定データを書換えするルータなどのネットワーク機器に最適で、データを保存する大容量の不揮発性メモリと、高速のワークメモリの中間に位置して、高速アクセスでのデータ書換えとデータのバックアップをサポートするとしている。

ルータでのメモリ使用例(富士通セミコンダクター提供)
ビッグデータを扱うIoT市場ではデータ処理量が増加しており、メモリには頻繁なデータ書き換えが要求される。また、セキュリティの観点からもアクセス履歴の保存が重要視されつつある。このような背景に対して、本製品はネットワークキング分野のアクセス情報を保護するメモリとして、機器の性能向上に貢献するという。
MB85RQ4MLの主な仕様は以下の通り。
- メモリ容量(構成):4Mビット(512K x 8ビット)
- インターフェース:SPI/クワッドSPI
- 動作電源電圧:1.7V~1.95V(単一電源)
- 書込み/読出し保証回数:10兆回(1013回)
- データ保持特性:10年(+85℃)
- パッケージ:16ピンSOP