HPE Discover

プロセッサでなくメモリ中心--コンピュータ新設計「The Machine」進めるHPE

末岡洋子 2015年12月15日 07時00分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 「世界初の本物のコンポーザブルインフラ」として、ハードウェア製品「HPE Synergy」を発表したHewlett Packard Enterprise(HPE)。コンピューティング、ストレージ、ネットワークを1つのシステムとして管理でき、企業は既存のIT、仮想、クラウドネイティブアプリケーションを管理できるというもの。

 だが、コンポーザブルの先についても研究を進めている――「The Machine」だ。コンピューティングの構造から見直すことで、データの爆発的増加、スピード、消費電力、セキュリティなど現在業界が抱える課題を解決できるという。

コンポーザブルの究極系--ラボで進む「The Machine」プロジェクト

 The MachineはHewlett Packard Labsで数年前からあった構想で、2014年6月のHP Discoverイベントで正式に研究プロジェクトとして発表した。現在、同Labが最も力を注いでいるプロジェクトだ。

 12月2日、英ロンドンでHPEが開催した「HPE Discover London 2015」の基調講演で、HPEの最高技術責任者(CTO)兼Hewlett Packard Labsのディレクターを務めるMartin Fink氏がThe Machineのコンセプトと目標、現状などについて話をした。


HPEの最高技術責任者(CTO)兼Hewlett Packard Labsのディレクター Martin Fink氏

 現在のコンピューターが直面する課題はデータの増加、消費電力の増加、スピード、セキュリティなどさまざまだ。データひとつとっても、IoTにより指数関数的な増加が予想されている。

 それだけでなく、これらのデータをリアルタイムにインテリジェンスに変えるという速度面での需要が高まっている。電力については、世界中のパブリッククラウド向けデータセンターが消費する電力量は国にして世界第5番目。日本(6番目)を追い越している。

 HPEなど主要ベンダーが進めるコンポーザブルは部分的にこれらの問題の緩和を図るもので、HPEは12月初旬に開催したHPE Discover中に初のコンポーザブルインフラハードウェア「HPE Synergy」を発表した。

プロセッサからメモリが中心に

 The Machineはこれをさらに進める取り組みだ。「The Machineと土台の技術は、”トランスフォーム(変革)”を革命的に進める」とFink氏。キーワードは「パワフル」「オープン」「セキュリティ」「シンプル」で、この日のスピーチでは、構造からみた特徴として「メモリ主導」「フォトニクス」を取り上げた。

 現在のコンピューターはプロセッサがメモリの量を決定しており、これに合わせてデータを”チョップ”する――つまりプロセッサが”門番”になっており、メモリをスケールしたいときはプロセッサを加えるというものだ。

 The Machineはこれをひっくり返して、データを中心に据える。現在のメモリ構造を壊してメモリとストレージで”ユニバーサルメモリ”を作り、データを保存したり操作したりする。スケールアップとスケールアウトが同時に可能となり、「現在では考えられないような規模のデータセットを取り扱える」とFink氏。プロセッサはシステムが消費する電力の多くを占めており、汎用からタスク主導のSoCになることで性能を改善し、消費電力を抑えることができる。

 データのやりとりをつかさどるのが光(フォトニクス)技術だ。これまでの銅線で指摘されてきた消費電力や帯域のスケールを飛躍的に改善できる。Fink氏は触れなかったが、最終的には「Memristors(メモリスタ)」の利用が想定されている。DRAMのスピードにフラッシュメモリとハードドライブのコストを組み合わせた次世代の不揮発性メモリといわれるものだ。


現在のプロセッサ主導のコンピューティング

インメモリデータストレージ、SoCなどの技術により
ユニバーサルメモリを土台としたメモリ主導を実現するという

 HP Labsでは現在、The Machineのコンポーネントと技術の開発を進めている。OSは現在、Linuxをベースとした「Linux for The Machine」を利用している。Fink氏はハイブリッドインフラへの変革に向けて、OS側で「ContainerOS」として取り組みを進めていることも明らかにした。

 「コンテナはセキュリティと隔離、そして拡張性のある管理の問題が指摘されている」と述べ、HPEはこの問題を解決すると続けた。


コンテナのセキュリティを実現するという「ContainerOS」。
HP Labで開発中のようだが、詳細は明かされなかった。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

関連ホワイトペーパー

連載

CIO
シェアリングエコノミーの衝撃
デジタル“失敗学”
コンサルティング現場のカラクリ
Rethink Internet:インターネット再考
インシデントをもたらすヒューマンエラー
トランザクションの今昔物語
エリック松永のデジタルIQ道場
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「展望2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
エンドポイントセキュリティの4つの「基礎」
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
ネットワークセキュリティの要諦
セキュリティの論点
スペシャル
エンタープライズAIの隆盛
インシュアテックで変わる保険業界
顧客は勝手に育たない--MAツール導入の心得
「ひとり情シス」の本当のところ
ざっくり解決!SNS担当者お悩み相談室
生産性向上に効くビジネスITツール最前線
ざっくりわかるSNSマーケティング入門
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell Technologies World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
吉田行男「より賢く活用するためのOSS最新動向」
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
日本株展望
企業決算
このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]