HPE Discover

HP分社化の背景にある「アイデア経済」到来の足音--HPE Discover

末岡洋子 2015年12月02日 18時11分

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 Hewlett Packard Enterprise(HPE)は12月1日、英ロンドンでHPEとして初のイベント「HPE Discover 2015」を開幕した。

 初日の基調講演では、HPEが6月に構想を打ち立てた、コンポーザブルインフラの初の製品となる「HPE Synergy」を披露。ITインフラを可変的なリソースプールとしてとらえ、求められるワークロードに最適なリソースを自由に切り出して再構成できるようにするコンセプトだ。

 顧客はこれを利用して自分たちのデータセンター内で「コードとしてのインフラ」を実現できる。HPEがプッシュするハイブリッドインフラ戦略の要となるものだ。

HPEに自信--Meg Whitman氏

HPEの最高経営責任者(CEO)、Meg Whitman氏
HPEの最高経営責任者(CEO)、Meg Whitman氏。「声が出ない」との理由で、冒頭のみの登壇だった

 DiscoverはHPEが年に2回開催するイベントで、春は米国、秋は欧州で開かれる。今年はロンドンでの開催となり、登録者は過去最高の1万3000人に及んだ。

 最初に登壇したのはHewlett-Packard(HP)からの分割後、11月1日にHPEの最高経営責任者(CEO)としてトップを続投するMeg Whitman氏。新しいアイデアを持つスタートアップがクラウド、モバイル、ソーシャルメディアなどを活用して既存の業界を崩壊する中、「われわれの顧客にはスピードが要求されており、われわれ自身もスピードが必要と判断した」と分社化の狙いを改めて説明した。

 「これまで以上に顧客が抱える課題にフォーカスしており、よりアジャイルで、ニーズに対応できる柔軟性を備えた企業になった。各顧客が抱える固有の要件に合うソリューションを提供できる準備が整った」とWhitman氏。

 顧客が求められているスピードの実現には「新しいスタイルのITが必要」とし、その実現を支援していくソリューションを提供する。変化を迫られている顧客に対し、「自分たちにとって最善の将来を構築できるビジョンのあるトランスフォーメーションパートナーが必要であり、それはわれわれだ」と語り掛けた。

既存企業のITはチャンスを逃すリスクになっている

 続いて登壇したエンタープライズグループ担当シニアバイスプレジデント兼EMEA担当マネージングディレクターのPeter Ryan氏は、HPEが「アイデアエコノミー」とする市場の変化を説明した。

 アイデアエコノミーの代表例が、Salesforce.com、Uber、Spotifyなどだ。問題や課題を感じた創業者がアイデアを基に起業し、既存の市場に崩壊的な影響を与えた企業たちだ。

 「Fortune1000企業は、市場のチャンスを見逃しかねないというリスクを抱えている。これらの新しいビジネスモデル、アイデアに崩壊される可能性がある」とRyan氏。

 「これまで経済的成功は、ほぼ間違いなく工場、産業機器、天然資源などを土台にしていた。だが、今日のグローバル競争でもっともパワフルな武器は、ソフトウェア、データ、アルゴリズム、ブランド、研究開発になった」(同氏)。

 エンタープライズの最大の敵が「タイムツーバリュー」だ。だが逆に見るなら、最大のチャンスになり得る。「新しいアイデアをいかに早く資本化できるか、新しい脅威にいかに早く対応できるのかを問い掛けるべきだ」と警告する。

 ここでITは大きな重要性をもつ。企業のデジタルトランスフォーメーションを支え、加速するのがITであり、差別化を生むのもITだ。

 既存のシステムを持たないスタートアップがクラウド、モバイル、ビックデータなどを活用してスピードを加速し、新しい市場を創出しているのに対し、既存企業は柔軟性に欠け、高価なメンテナンスが必要なITシステムに縛られているという状態だ。

 だが、ベンチャー企業による早期に製品やサービスの開発と提供を可能にしたクラウド、アプリ、モバイル、ビックデータなどの新しい技術をエンタープライズも活用できる。そこをHPEは手助けするという。

コンポーザブルインフラ「HPE Synergy」

 HPEのエンタープライズへの解はハイブリッドインフラだ。つまり、既存のIT環境とプライベート・パブリッククラウドの組み合わせだ。これまでの伝統的なITは今後も残り、ワークロードの一部がホステッド/マネージドクラウドにいき、SaaSを含むパブリッククラウドも利用するという。

 「ハイブリッドインフラはエンタープライズの新しい現実だ」というのは、Antonio Neri氏だ。Neri氏はエンタープライズグループで執行バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーを務める。

 Neri氏は裏付けとして、いくつかの調査を持ち出した。IDCとGartnerをベースとした調査では、ITインフラ投資は2015年に8960億ドル、このうちパブリッククラウドが占めたのは1.5%でプライベートクラウドは5%、93%は伝統的なITに流れている。

 2018年は市場規模が1兆ドルを上回るが、引き続き9割近くは伝統的なIT、プライベートクラウドは9%、パブリッククラウドは2.2%という予想だ。451 Groupは今後2年クラウドがメインの実装とし、そのうちの74%がプライベートクラウド、パブリッククラウドは26%だったという。

2018年になっても89%は伝統的なITだとする
2018年になっても89%は伝統的なITだとする

 企業の課題は「自社にとっての正しい組み合わせ」を見出すことだ。そこでHPの提案は、1.定義、2.加速、3.最適化の3ステップだ。まずはアプリケーションのインフラとして伝統的なIT、プライベートおよびパブリッククラウドの組み合わせを定義し、エンドツーエンドでアプリケーションとサービスの配信を加速、そしてマルチクラウド環境での管理、規制遵守などのセキュリティ、パフォーマンスを継続的に最適化していく、という流れだ。

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