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印刷機器のログを分析して予防保守--SCREENグループのM2Mシステムの効率性

藤本和彦 (編集部)

2016-02-22 07:00

 SCREENグラフィックアンドプレシジョンソリューションズ(京都市)は、産業用印刷機器やプリント基板製造装置を提供する企業。SCREENホールディングス(旧社名は大日本スクリーン製造)のグループ会社として近年は、印刷機器から収集したデータを分析して予防保守などを提供する独自の機械間通信(Machine to Machine:M2M)サービスに力を入れている。

 「オンデマンド印刷は超短納期が求められ、機器が万一のトラブルに見舞われると生産ラインの停止だけでなく、売り上げや信用の面でも多くの損失が発生してしまいます」と同社 サービス統轄部 サービスビジネス部 部長の吉田聡氏は話す。

SCREENグラフィックアンドプレシジョンソリューションズの吉田聡氏
SCREENグラフィックアンドプレシジョンソリューションズの吉田聡氏

 公益社団法人日本プラントメンテナンス協会が「2013年度メンテナンス実態調査報告」でまとめた結果によると、設備保全に関する課題として45%が「人の真因究明能力が追いつかない」と回答し、その背景には設備の高度化とブラックボックス化が進み、もはや自社の人材では故障部位を検知できなくなっているのだという。

 そうした中で、メーカーによる高度でプロアクティブな設備保全と運用改善へのサポートが必要とされていると説明する。

印刷機器の故障を予測して保全

 同社が提供する独自のサポートプログラム「TRUST Network Service」は、トラブル発生時の的確な障害切り分けや、普段の装置状況の監視による予兆診断、分析レポートやメンテナンス情報の提供など各種サービスを組み合わせたもの。(1)リモートで装置の復旧や保守、メンテナンスを実施する「TRUST Assist」、(2)顧客ごとに最新のメンテナンス情報を提供する「TRUST Dialog」、(3)ログ情報などをもとに専門スタッフが装置の状況を把握して故障の予兆を診断する「TRUST Guard」――のサービスで構成されている。

TRUST Network Serviceの概要図
TRUST Network Serviceの概要図(SCREENグラフィックアンドプレシジョンソリューションズ提供)

 予防保守サービスであるTRUST Guardは、顧客に導入した印刷機器から日々の稼働履歴(ログ)を同社のサーバに自動送信し、専門スタッフがログを解析することで定期交換部品の交換時期を判断したり、故障原因の特定を迅速化したり、常に先回りしたかたちで保守作業を実施できる仕組みだ。日別の処理ジョブ数やジョブごとの使用機材、印字時間、基材幅、出力長、インク使用量などの履歴を分析することで、生産管理や原価管理に活用できる稼働状況レポートも提供する。

 生産状況やエラー発生状況、インクジェットヘッドのクリーニング状況、消耗部品の消耗と劣化状況、主要部品の交換履歴を確認できるほか、複数の装置で発生している問題点を把握して早期に是正することで製品品質の改善にも役立てられる。

 実際、ある企業担当の専門スタッフがTRUST Guardで稼働実績を確認している際、印刷機器の特定のインクヘッドでクリーニング回数が増えているのを発見。現場に技術者を派遣し、問題のインクヘッドを技術者専用のツールでメンテナンスすることで改善し、必要以上のクリーニング作業がなくなった。生産ラインの停止を免れたほか、生産性の向上にもつながった。

 TRUST Guardに収集した印刷機器の稼働ログは、インメモリ型ビジネスインテリジェンス(BI)ツール「QlikView」を使って分析する。現在は顧客に納入した100台ほどの印刷機器からログを収集しており、顧客関係管理(CRM)システム「Salesforce」と連携することで、顧客や製品の管理情報と装置ログを紐づけている。

 社内向けの定期レポートやエラーアラート、顧客向けの分析レポートは、レポート生成ソフト「QlikView NPrinting」で作成している。

データ分析基盤の構成図
データ分析基盤の構成図(SCREENグラフィックアンドプレシジョンソリューションズ提供)

 QlikViewの導入理由とメリットについては、さまざまな種類のデータを取り込め、簡単な操作で集計やグラフ表示、変更ができることに加え、低コストでスモールスタートしながら世界中のサービス部門での情報共有へと広げられることを挙げた。各サービス部門ごとに担当顧客製品のみを閲覧できるようにするアクセス制御についても評価した。

事実の見える化から予兆検知の仕組みへ

 今後は、Excelファイルに出力している分析レポートをQlikView上で確認できるように機能向上を図るとともに、生産性向上のためのプロセスの可視化、装置定期点検時期の予測、重大トラブルの予兆検知をはじめとするデータマイニングの活用を進めていく。

 「現在は事実に基づいて可視化している段階ですが、事実の寄せ集めから今後を予測する予兆検知の仕組みを作っていきます」

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