三井住友銀行は、日本の銀行で初となる融資電子契約システムと、融資事務管理システムを導入、2月より稼働を開始した。
今回電子化の対象となるのは、金銭消費貸借約定書や、特殊当座借越契約書、保証書など、三井住友銀行様所定の融資取引に関する書類で、電子署名の活用により取引印の押印に関わる時間や場所の制約を受けずに契約手続を進めることが可能となり、ウェブ上で一連の契約手続を完結できるシステムとなっている。
融資の契約手続に要する期間を短縮することが可能となるほか、契約書類の確認プロセスにおいても、タッチパネルディスプレイを活用した新たな融資事務管理システムを構築し、点検の効率・精度向上、および電子契約書類の点検から保管までの一貫したペーパーレス化を実現するという。構築を手掛けた富士通が3月4日、発表した。
システムイメージ図(富士通提供)
富士通では、日本総合研究所とともに三井住友銀行の法人ネットチャネルシステムの構築に携わってきたノウハウを生かしながら、上流工程から製造・テストまで網羅した業務プログラム開発支援ツール「FUJITSU Software Interdevelop Designer)」とソフトウェアの設計、開発、運用、保守を支援するアプリケーションフレームワーク製品「FUJITSU Software INTARFRM」をベースとしてシステムを構築した。
今回構築されたシステムの特徴と導入効果は以下の通り。
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融資電子契約システムによる契約手続の時間短縮とペーパーレス化の実現
従来の融資取引は紙をベースとした契約手続で、契約書類の内容確認や取引印の押印のために、融資先企業と銀行の各担当者が互いに行き来したり、郵便でやりとりをしたりする必要がありった。また、契約書類の印刷や保管に加え、収入印紙の貼付も必要だった。
これに対し、今回構築した邦銀初の融資電子契約システムを利用することにより、取引印の押印の代替として電子署名を活用し、融資の契約手続をWeb上で行えるようになり、契約手続に要する時間を短縮することが可能となる。さらに、契約書類への収入印紙の貼付が不要になるのに加え、契約内容の確認もウェブ上で可能になるため、契約書の控えを保管するスペースが不要となり、融資先企業のコスト削減にも寄与できる。
融資事務管理システムによる契約書類の点検作業効率化
従来、融資先企業から紙で受領した契約書類は融資事務処理拠点に搬送され、紙をベースとして手作業で点検を行っていた。そのため、点検に時間がかかっていたのと同時に、点検が完了した書類を保管するスペースを準備しておく必要があった。
新たに構築した融資事務管理システムでは、ウェブ経由で電子的に融資事務処理拠点に送付される契約書類を、点検用のタッチパネルディスプレイに画像として映し出して点検することにより、点検の効率化を図るとともに、点検のための契約書類の印刷が不要となることによって、ペーパーレス化が実現できる。