弥生は1月19日、クラウドサービス「YAYOI SMART CONNECT」に新機能「スキャンデータ取込」を搭載するほか、スキャナ保存制度の申請と運用支援サービス、“スキャナ無償レンタル”キャンペーンなどを展開すると発表した。これにより、同社が提唱するスモールビジネスの「会計業務 3.0」を実現し、「ペーパーレス経理」を推進していく。
紙媒体の電子データ化が一般的になり、社会全体でペーパーレス化の取り組みが進んでいる中、会計業務においても電子帳簿保存法におけるスキャナ保存の要件が改正され、規制緩和が始まっている。
しかし、レシート、領収書は依然として紙が多くを占めており、会計業務におけるペーパーレス化は、進んでいるとは言えないのが現状だ。同社が実施した、スモールビジネスの経理におけるレシートや領収書の年間の処理枚数、処理時間の調査では、年間で処理枚数は310枚、処理時間は24時間にもおよび、非効率な作業に時間や手間が割かれている。
弥生では「事業コンシェルジュ」というビジョンを掲げており、こうした課題に対しスモールビジネスが本来の仕事に集中できる環境をサポートすべく、会計業務 3.0を実現し、ペーパーレス経理の推進を機能とサービスで包括的に支援していくとしている。なお、会計業務 3.0とは、証憑の整理から伝票入力、記帳を自動化することにより、取引発生から試算表、決算書作成までの中工程業務のさらなる効率化を実現し、会計業務を2.0から3.0に進化させるというもの。
会計業務 3.0のイメージ(弥生提供)
今回新たに提供される機能とサービスの概要は次の通り。
処理時間を約8割短縮するスキャンデータ取込
YAYOI SMART CONNECTにスキャンデータ取込機能を搭載し、これまで提供してきた取引データの取り込みに加えて、レシートや領収書などの紙証憑の取り込みに対応。YAYOI SMART CONNECTは、銀行明細やクレジットカード、電子マネーなどの取引データを、外部アプリケーションやサービスから取り込み、仕訳データに自動で変換し、対応する弥生会計シリーズに転送するサービス。
YAYOI SMART CONNECTの概要(弥生提供)
スキャンデータ取込機能では、レシートや領収書をスキャナで読み取った画像からOCR処理によって自動で取引データを生成し、さらに取引データを仕訳データに自動変換する。
また、スキャナ保存制度の要件に必要な、タイムスタンプの付与、証憑の検索機能、承認機能を搭載(スキャナ保存制度の要件に対応する機能は2月に提供予定)。これにより、証憑の整理、ファイリングから仕訳の入力までを一気通貫で自動化することで、証憑の処理時間を約8割削減(弥生調べ)する。
スキャンデータ取込機能の概要(弥生提供)
ペーパーレス経理推進の費用負担を最小限にする各種サービス、キャンペーン
これまでスキャナ保存制度の申請、運用に際しては、申請書類や規程の整備などに掛かるコンサルタント費用や原稿台付スキャナの購入、タイムスタンプの費用など、初期費用として180万円、運用費用として年間30万円程度かかるという試算もあり、スモールビジネスにとって導入は非現実的だった。
これに対し弥生は、申請と運用支援サービスの提供、パートナー企業との連携、協業によるスキャナ、タイムスタンプの無償提供で、手間とコスト負担を最小限に抑える。
スキャナ保存制度の申請と運用支援サービス
スキャナ保存制度の申請をするための記載方法、記載事例や、適正事務処理要件を満たす社内規程テンプレートをダウンロード提供し、自社での申請をサポート。
タイムスタンプの無償提供
画像データの真実性を保証するためのタイムスタンプは従量課金での有償提供が一般的だが、セイコーソリューションズとの連携により弥生ユーザーに無償提供(対象ユーザーは、あんしん保守サポート加入者、または弥生オンライン製品利用者)する。
スキャナを無償でレンタル提供
PFUとオリックス・レンテックとの協業により「スキャナ無償レンタル」キャンペーンを開始。一定条件を満たしたユーザーで1月19日~12月31日の申込受付分までを対象とする。