MIT、サイバー攻撃の85%を検知する人工知能プラットフォーム「AI Squared」を発表

Charlie Osborne (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 編集部

2016-04-19 11:24

 マサチューセッツ工科大学(MIT)のコンピュータ科学および人工知能研究所(CSAIL)が米国時間4月18日に述べたところによると、「アナリスト主導のソリューション」の多くは人間の専門家が作った規則を利用するため、既定のパターンに合致しない攻撃を見逃す可能性もあるが、そうした状況を一変させる人工知能プラットフォームが新たに開発されたという。

 MITによると、「AI Squared」(AI2)と呼ばれるそのプラットフォームは、85%の攻撃を検知(現在のベンチマークの約3倍の確率)するほか、偽陽性も5分の1に減らすという。

 後者は重要である。なぜなら、誤検出によって偽陽性が誘発されると、保護システムに対する信頼性が低下するおそれがあるほか、その問題を調査しなければならないIT専門家の時間も無駄になってしまうからだ。

 AI2のテストは「ログライン」として知られる36億件ものデータを使って実施された。これらのログラインは、2000万人以上のユーザーによって3カ月の間に生成されたものだ。AIはこの情報をくまなく調べ、機械学習を用いてデータをまとめて疑わしい活動を検知した。異常と判定された活動は人間のオペレーターに提出され、フィードバックが出された。

 CSAILのリサーチサイエンティストであるKalyan Veeramachaneni氏は、「このシステムは、バーチャルアナリストとみなすことができる。AI2は新しいモデルを絶えず生成し、わずか数時間で洗練されることで、検知率を大幅かつ迅速に高めることが可能だ」と話す。

 AI2は1日に何十億件ものログラインをスキャンし、それぞれのデータが「正常」か「異常」かを評価することができる。攻撃が発生すればするほど、そして人間のオペレーターがフィードバックを返せば返すほど、AI2はより効果的になる。なぜなら、AI2は何に注意すればいいのかを学習するからだ。

 Veeramachaneni氏によると、この「カスケード」効果により、将来の攻撃予想の精度は向上し続けるという。

 MITによると、AI2は3種類の学習方法を使用して、毎日の終わりに重要なイベントを提示し、オペレーターがそれらのイベントを分類できるようにするという。その後AI2はモデルを構築し、チームが「continuous active learning system」(絶えず活発な学習システム)と呼ぶシステムを通じて洗練されていく。


この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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