IDC Japanは5月17日、国内ソフトウェア市場の2015年の実績と2016年~2020年の予測を発表した。2015年の国内ソフトウェア市場は2兆6174億2100万円、前年比成長率が4.0%と堅調な成長だった。
2016年の国内ソフトウェア市場は前年比成長率4.4%を見込んでいる。なお、IDCが定義するソフトウェア市場には、パッケージソフトウェアに加え、SaaS(Software as a Service)、PaaS(Platform as a Service)の売上額も含まれ、特にPaaSとSaaSの利用拡大がソフトウェア市場の成長をけん引しているとのこと。
国内ソフトウェア市場予測:2015年~2020年(2015年は実績値、2016年以降は予測)
ソフトウェア市場を構成する3つの大分類市場別では、アプリケーション市場が前年比成長率4.5%、アプリケーション開発/デプロイメント市場が前年比成長率5.4%、システムインフラストラクチャ市場が前年比成長率2.6%となった。
最も成長率が高いアプリケーション開発/デプロイメント市場では、アナリティクス需要の拡大やPaaSの高い成長が市場の伸びをけん引した。アプリケーション市場では、SaaSへの移行が進んでいるCRM(Customer Relationship Management)アプリケーション市場とコラボレーティブアプリケーション市場が好調だった。
2015年~2020年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は4.2%、2020年には3兆2091億円に達するとIDCは予測している。大分類市場別の2015年~2020年CAGRは、アプリケーション市場が3.7%、アプリケーション開発/デプロイメント市場が5.4%、システムインフラストラクチャ市場が3.9%と予測。
2015年~2020年のCAGRが最も高いアプリケーション開発/デプロイメント市場では、ビッグデータ向け統計解析ツールやセルフサービス型BI(Business Intelligence)の浸透などアナリティクス関連市場の高成長が続くとみられる。
PaaSについても、デジタルトランスフォーメーション(DX)のプラットフォームとしての採用が拡大し、高成長が継続すると予測。アプリケーション市場では、デジタル化によるサービスの多様化が進み、コグニティブシステムやデジタルマーケティングに関連したソフトウェアとクラウドサービスの急速な利用拡大が見込まれる。
システムインフラストラクチャ市場では、サイバーセキュリティ対策やマイナンバー制度への対応に向けたセキュリティソフトウェアの投資拡大や、システム運用の自動化、Software-Defined Networks(SDN)やSoftware-Defined Storage(SDS)の本格導入が市場をけん引するとIDCでは見ている。
同社ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーの入谷光浩氏は、以下のようにコメントしている。
「DXの進展とともに、SaaS/PaaSの利用拡大が今後さらに加速していく。そのような中で、ソフトウェアベンダーはクライアント/サーバーの時代から続く従来型のパッケージソフトウェアのビジネスモデルから脱却すべき時期に来ている。クラウドサービスへの本格移行やクラウドマーケットプレイスからの提供、ソフトウェアライセンスでのサブスクリプション/従量課金型モデルの採用など、クラウドネイティブ時代に適したソフトウェアビジネスモデルを積極的に取り込んでいくことが必要である」