ティントリジャパンは6月6日、サーバ仮想化環境に特化したストレージ装置「Tintri VMstore」を強化した。仮想サーバ(VM)の台数が増えてストレージが足りなくなった際に、サーバ仮想化ソフトの設定やストレージ構成を手動で変更することなく、Tintri VMstoreの台数を増やすだけで対処できるようにした。この新機能を同社は「VMスケールアウト」と呼んでいる。

(写真1)Tintri VMstoreの外観。2Uラックマウント型のきょう体に最大24本のSSD/HDDを搭載する
Tintri VMstoreは、VMのディスクイメージを格納する用途に特化したNASストレージ(ファイル共有サーバ)だ。サーバ仮想化ソフトからNFSまたはSMB3(Windowsで使うファイル共有プロトコル)でアクセスする。最大の特徴は、一般的なストレージのようなLUN(ボリューム)単位ではなく、個々のVM単位でストレージ容量やI/O性能を設定できること。
今回、Tintri VMstoreのストレージ管理ソフト「Tintri Global Center」の機能を強化するオプション「Tintri Global Centerアドバンスト」(Tintri VMstore当たり360万円)を用意した。これを使うと、Tintri VMstoreを最大32台まで増設し、仮想サーバ(VM)イメージの格納領域を拡張できる(図1)。

図1.新機能「VMスケールアウト」によって、Tintri VMstoreを最大32台まで増設してVMイメージの格納領域を拡張できるようになった
複数ストレージへのVMイメージの再配置を自動化
具体的には、2つの機能を提供する。1つは、(1)VMイメージの再配置を自動化する機能、もう1つは、(2)サーバ仮想化ソフトとの連携だ(写真2)。

VMスケールアウトについて説明する、ティントリジャパン、パートナー営業部SEマネージャーの東一欣氏
(1)は、Tintri VMstoreの増設時に、個々のVMに設定済みのQoSを考慮しながら、どのVMイメージをどのTintri VMstoreに移動するべきかを自動で判断する。この判断に基付いて、管理者に推奨案を提示する。管理者の操作を待つことなくVMイメージを自動的に移動させる運用も可能。移動させたくないVMイメージを設定することもできる。
(2)は、Tintri VMstoreの増設によってVMイメージの格納先がストレージ間を移動した場合に、Tintri VMstoreは、VMイメージが移動した旨を、サーバ仮想化ソフトにサーバ仮想化ソフトのAPIを介して通知する。これにより、システム管理者がサーバ仮想化ソフトの設定を変更することなく、VMをストレージ間で移動できる。連携できるサーバ仮想化ソフトは、VMware vSphereとHyper-V。
Tintri Global Centerアドバンストによって可能になる上記の機能がVMスケールアウトだ。スケールアウトといっても、複数ノードにまたがった単一のファイルシステムを形成するような密結合のスケールアウトを指しているわけではない。VMスケールアウトは疎結合で、複数台のNASファイルサーバを複数台のNASファイルサーバのまま運用し、VMイメージの再配置を省力化する。