インターネットテクノロジの総合イベントとして日本では23回目の開催となる「Interop Tokyo 2016」が6月8~10日の3日間、千葉市の幕張メッセで開催されている。参加企業は527社と前年の486社から40社程度増やし、3日間で14万人の来場を見込む。
今年は「Think out of the box ~創造力と技術で生みだす未知なる世界~」をテーマにかかげ、IoTが前提となる社会で、技術的に実現できることだけではなく、大量に収集されたデータをどのように活用するのかを考察する場と定義している。「技術とアイデアをいかにマリアージュさせるか」(Interop Tokyo 実行委員長=慶應義塾大学 環境情報学部長 教授 村井純氏)
Interopといえば、毎年会場内のネットワークを最新の機器や技術で構築するプロジェクト「ShowNet」が有名だ。出展ブース、来場者、カンファレンス会場向けにインターネットへの接続環境を約2週間で構築している。
産業界、学界、研究機関のトップエンジニアたちが集う場であり、ShowNetで成功した技術が2~3年後に商用化されることも珍しくないという。各社が持ち寄ったネットワーク機器の総額は約74億円、396人が構築に携わる。
ShowNet 参加メンバー 遠峰隆史氏
企業の枠を超え、それぞれのネットワーク機器を相互に接続して相互接続性を検証する場として展開しているが、実際にこのような取り組みをしているのは日本だけという。「Interopで接続性を確認しているから導入できるというスピリットを継承していきたい」(ShowNet 参加メンバー 遠峰隆史氏)
ShowNet 参加メンバー 関谷勇司氏
2016年のShownetでは、次世代の仮想私設網(VPN)である標準化技術「EVPN(Ethernet VPN)」とパケット転送技術「MPLS(Multi Protocol Label Switching)」による“Stiching(縫い合わせ)”の相互接続性を検証している。また、IaaS環境基盤ソフトウェア「OpenStack」のディストリビューションである「VMware Integrated OpenStack」や「Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform」と、ESXiやKVMといった複数のハイパーバイザを組み合わせた“マルチハイパーバイザ構成”で運用している点も特徴としている。
2015年のShowNetは、システム全体をソフトウェアで制御する「ソフトウェアディフェンドアーキテクチャ」だったが、今年は「ソフトウェアで構築することは当たり前の選択肢になった」(ShowNet 参加メンバー 関谷勇司氏)。ハードウェアとソフトウェアの利点を融合し、垂直統合型システムを積極的に採用することで性能の安定性を確保できるようにしつつ、一部インフラのソフト制御が可能な柔軟性も確保できるインフラを目指したという。
セキュリティの領域でも企業の枠を超えて連携している