macOS Sierra
「OS X」は「macOS Sierra」という新たな名称となった。今回のOSアップデートでは「Continuity」機能に力が入れられており、「Apple Watch」を用いて自らの「Mac」の認証を可能にする「Auto Unlock」という新機能が搭載されている。また、あるデバイス上でコピーしたテキストや画像を、他のデバイスでそのままペーストできるようにする「Universal Clipboard」という機能も搭載されている。
Sierraでは「iCloud」もアップデートされ、デスクトップ上のファイルも複数のMac間で利用可能になる。また新たな「Optimize Storage」機能は、不必要なファイルを除去するための手助けをしてくれる。この機能を使うことで、使用頻度の低いファイルを削除してハードディスクの空き容量を増加させた場合でも、該当ファイルが必要になった際にiCloud経由でシームレスにアクセスできるようになる。
小売関係者が注目すべき点として、Apple Payがウェブブラウザで利用できるようになる。ユーザーはApple Payでの支払いを選択した後、Continuity機能により、Apple Watchや、iPhone上の「Touch ID」を使って認証できる。
タブも「Safari」だけでなく、すべてのウィンドウ上で使えるようになる。また、新たな「Picture in Picture」機能により、動画をディスプレイ上の小さな領域に抜き出して再生を続けながら、他の作業を実施できるようになる。
またSierraの登場により、SiriがMac上でも利用可能になり、より高度なファイル検索ができるようになる。
Sierraの開発者向けプレビュー版は同日より提供が開始されており、パブリックベータ版は7月に、一般提供は秋になる見込みだ。
iOS 10
まずユーザーエクスペリエンス面に目を向けると、ロック画面のデザインが新しくなり、画面を見るためにデバイスを持ち上げるととスリープが解除される「Raise to Wake」という機能が追加された。「3D Touch」を用いることで、ロックを解除することなくメッセージやカレンダーの招待に対応できる。コントロールセンターには、音楽用の領域と、ウィジェット(サードパーティーのアプリも含む)を追加できる「Today View」という領域が追加され、ロック画面をスワイプするだけでアクセスできる。
Appleは開発者らにSiriを開放する。これにより、サードパーティーアプリとSiriのより緊密な連携が可能になる。Siriの知性はiOSのキーボードにも活用され、ディープラーニングを用いることで、より迅速な応答と、テキストでの対話に基づいたイベントのスケジューリングが可能となる。また、Siriを使ってスケジュールの空きをチェックしたり、最近検索したアドレスをペーストすることも可能になる。さらに、多言語入力もサポートされている。
携帯電話としての機能面に目を向けると、iOSではかかってきた電話のボイスメールからテキストを起こせるため、実際にボイスメールを聞く必要がなくなる。また、新たな拡張APIによって、かかってきたのが迷惑電話かどうかを識別できるようになる。
「Contacts」アプリは、ユーザーがそれぞれの連絡先にどうコンタクトする傾向があるかを記憶し、アドレス帳の中で連絡方法の優先順位付けをする。また仕事の電話を個人のiPhoneに転送可能になったことも、ビジネスユーザーにとって大きい。
iOSで最も頻繁に使われるアプリである「Messages」は、リンクを画像付きで表示できるようになったほか、共有されたビデオをアプリ内で再生できるようになった。また手書き文字の送信が可能になり、絵文字、スタンプ、吹き出しのエフェクト、フルスクリーンのエフェクトがアップデートされた。
「Photos」にはAI機能が追加された。「Maps」は開発者に開放され、「Music」「News」はデザインを刷新した。「HomeKit」に関しては、接続されたすべてのデバイスのアクセスを集約し、iOSの「Command Center」からコントロールするアグリケーションアプリ「Home」がお披露目された。
また、子供たちにゲーム感覚でコーディングを教える新アプリ「Swift Playgrounds」も発表された。Appleの最高経営責任者(CEO)Tim Cook氏は、すべての学校でコーディングを教えられるように、無償で提供する意向を明らかにしている。今回の基調講演は、プライバシー保護やエンド・ツー・エンドの暗号化に対する取り組みの話題で締めくくられた。これは当然、Appleの製品が依然として、プライバシーをできる限り尊重するように作られていることをアピールするためだ。
iOS 10は同日より開発者プレビューが公開されている。すべてのユーザーに向けた正式版は今秋公開される予定だ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。