「われわれは、ブロードバンド拡張プロジェクトの助成金を要請する草案を作成している。そのプロセスが長引かなければ、最初の取り組みは2016年内に始まるだろう」とVilloslada氏は述べる。州政府は、2017年までにネット接続環境を大幅に改善する計画だが、それでもレポートで分析対象となった981地域のうち62.2%には十分に普及しない見通しだ。
普及が最も進んでいない場所は、ピティウザス群島の南部に位置するフォルメンテラ島だ。イビサ島とともにピティウザス群島を構成しているが、イビサ島よりも小規模な島だ。フォルメンテラ島議会(カタルーニャ語でConsell Insular)は、「WiFi Formentera」というプロジェクトを導入している。1Mbpsの無線インターネットを月額10ユーロという手ごろな価格で全住民に提供するものだ。
それでもネット接続環境は貧弱だと住民は述べている。2013年、2360回線を提供していたTelefonica傘下の携帯電話事業会社Movistarの光ファイバケーブルに大型のヨットが損傷を与えた事故で、フォルメンテラ島のことが報じられた。この事故で、観光シーズンに島内のATMやPOSシステムが使用できなくなった。
Telefonicaは米ZDNetに対し、この事故以来ケーブルは金網で保護され、冗長化をさらに進めて接続を確保していると述べた。Telefonicaは、「2020年までに人口1000人超の全住民に光ファイバを提供する計画を継続する」と述べているが、それでもやはり、島民は総じて島のネット接続は脆弱なままだと感じている。
住民はTelefonicaの宣伝文句に不信感を抱きがちだ。「われわれは、本土の住民と同じ料金を支払って、同様のアクセスと機会を得たい」とイラストレーターでバレアレス諸島大学教授のAntonio Fernandez-Coca氏は言う。
ただしネット接続環境の取り組みは、まだバレアレス諸島のデジタル関連の信頼性を向上する計画の一部にすぎない。もう1つ注目すべき点は、州政府で無料のオープンソースソフトウェアの利用が増加していることだ。
Villoslada氏は、2015年5月の選挙後に州議会で働き始めた時、バレアレス諸島州政府は既にフリーソフトウェアを利用して業務を行っていたことを知った。
Villoslada氏はその例として、ファイル管理アプリケーションの「Helium」や、港湾管理委員会といった他の機関でも使用されている手続き用プログラム「SISTRA」を挙げた。