中高年層の強みは、長年の経験と、そこから培われた豊富な知識である。だがこの常識は、果たしてソフトウェア開発の現場にも当てはまるのだろうか。
開発者の平均年齢の低下を示す統計や事例は、枚挙に暇がない。
コンピュータサイエンスを専門とするカリフォルニア大学のNorman Matloff教授は、開発者の年齢には上限があると主張している。教授によると、「統計では開発者の大半が40歳までに現場を退いている」という。ちなみに2015年には、従業員の平均年齢が29歳であるGoogleに対して、年齢差別の訴訟が起こされた。
シリコンバレーの外側に目を向けてみても、結果は同じだ。近年の調査結果はいずれも、世界中で開発者の若年化が進行中であることを示している。先日、Stack Overflowが実施した調査では、ロンドンで働く開発者の平均的な経験年数がわずか8年弱だという結果が出た。全世界でみると、平均経験年数はさらに短い6.5年程度である。大半の開発者が仕事に就いて間もないというこの事実は、Stack Overflowが発表した別の調査結果と一致する。それによると、全世界における開発者の平均年齢は30歳未満なのだ。
「Stack Overflowの調査結果を鵜呑みにはできないが、数値が特定の現実を反映しているのは確かだ。若年層は中高年層よりも低賃金で雇用でき、35歳くらいで切り捨てられる」とMatloff教授は述べている。
教授によると、35歳から40歳前後になった開発者は、キャリアにおいてより多くの障害に直面することになる。その理由は身に付けている技術が時代遅れになっているか、逆に能力が過剰だからだという。しかし中高年層が障害に直面する最大の理由は、高すぎる賃金にあると教授は分析する。
開発者の賃金が、社会全体の平均賃金よりも高水準なのは事実だ。Stack Overflowの調査によると、英国内における開発者の平均年俸は5万1339ポンドで、賃金水準の分布で上位20%に含まれている。
しかしStack Overflowの調査結果は、中高年層の開発者が現場から追いやられているという説を必ずしも裏付けるものではない。