電通国際情報サービス(ISID)は6月23日、スイス企業のAlpVision SAと業務提携を結び、不可視デジタル真贋判定製品「Cryptoglyph」を提供開始すると発表した。
Cryptoglyphは、医薬品の外装(箱やラベル)に肉眼では見えない微細な凹凸を施し、偽造薬の可能性が疑われた場合にはスマートフォンで容易に本物か偽物かを判定できる。世界の大手製薬企業で採用され、年間百億パッケージ以上の製品を偽造から保護しているという。
微細な凹凸は、肉眼で見えないため偽造が困難だが、一般的な印刷技術で対応できるため、追加コストを抑制できる。本物か偽物かの判定も簡単でトレーニングが不要なため、国内はもとより、海外拠点も含めた多拠点展開が容易となる。また、従来の偽造薬対策に比べ、安価に導入できるとしている。
Cryptoglyphでは、企業や製品単位で透かしのパターンファイルを生成し、これを識別するスマートフォンアプリとともに顧客企業に提供する。パターンファイルは、一般的なデザイン制作用ソフトウェアを用いて外装の版下に組み込め、従来の印刷工程を変更することなく適用可能だ。
偽造医薬品の脅威は世界的に増大しており、日本においてもネット販売の解禁などによる流通経路の多様化から、その流通量が増加している。日本は2014年7月に国際間で査察の整合性を図る医薬品査察共同スキーム「PIC/S」に加盟し、医薬品の適正な流通基準の整備を進めている。国内製薬企業はこれまで、特殊なインクやホログラムを外装に施したり、流通経路をモニタリングしたり、さまざまな偽造薬対策を実施してきたが、今後さらなる対応強化が求められている。
税別価格は、パターンファイル、スマートフォンアプリのセットで構成されるデモキットで70万円から。初期導入には、パターンファイル、スマートフォンアプリ、品質管理ソフトウェアのセット購入と初期セットアップ作業の費用がかかり、900万円からとなっている。また、適用箱数に応じて算出された年間利用料が別途必要となる。
Cryptoglyphの適用プロセス