Cambridge Consultantsは6月30日、日本法人を開設すると発表した。日本はケンブリッジやボストン、ニューデリー、シンガポールなどに引き続き、7拠点目となる。日本法人の代表にはMotororaやNokiaなどでの事業開発の経験を有する佐相宏尚氏が就く。
最高経営責任者(CEO)のAlan Richardson氏
Cambridge Consultantsは企業のイノベーションを推進するコンサルティング会社であり、ケンブリッジ大学と密接に連携している点が特徴である。最高経営責任者(CEO)のAlan Richardson氏によると、同社は戦略立案のみならず、エンジニアリングなどを通し試作品を提供したり、合弁会社などを設立することなど、顧客の要望に合わせた成果を提供している。
ケンブリッジに存在する時価総額1000億以上の企業15社のうち4社にCambridge Consultantsが携わっているといい、その中にはクアルコムが買収したCSRやブラザー工業が買収したDominoなどが含まれるという。「われわれはケンブリッジで1985年、ハイテク企業20社から360社に急増した“ケンブリッジ現象”の中心であった」(Richardson氏)
日本進出した理由について、トムソン・ロイターが保有する特許データを基に知財動向を分析した結果、日本企業の選出は世界最多の40社であり、最もイノベーティブな国であるというデータを紹介した。イノベーションを推進する同社ではこのデータなどから日本を戦略的ターゲットと評価する一方、科学技術分野のイノベーションをビジネスに結びつけることが得意でない企業が多い可能性があると分析。一人のカリスマではなく、顧客とともにイノベーションを起こすという“英国式イノベーション”の形がマッチしそうだと判断したという。
日本法人代表の佐相氏は、英国式イノベーションを「トップのイノベーティブなビジョンを実現するというよりも、“三人寄れば文殊の知恵”を実践し人々の 異なるスキルや経験の融合・狭間で生まれてくる創造性を実現しようとすること」と定義。英国人の性格は日本人に近く、シャイであまり自分の意見を主張しないと説明した。独自のフレームワークにより、プロセス化作業を実施する方法論を用い、「誰でもイノベーションを起こせる可能性があり、カリスマではなく”企業”として継続してイノベーションを起こせるもの」と考えているという。
日本でもすでにアサヒビールや日立製作所など5社で実績を持つとアピール。こうした顧客へのサービスを拡大し、2年以内に10人に従業員を増やし、3年以内に15社以上との関係構築を目指すとした。