日本IBMは7月26日、Watsonを中心としたコグニティブ(認知)技術とネットワークにつながるデバイスを連携させる「Watson IoT」事業強化に向け、新たにパートナープログラムを開始すると発表した。
プログラム名は「Watson IoT Platformパートナーエコシステム」。Watson IoT PlatformをPaaSであるBluemix上で提供する。Bluemixを基盤としながら、Watsonによるコグニティブ技術、Cisco Systemsと連携したエッジコンピューティングやブロックチェーン、買収したThe Weather Companyのデータなどを交えて、アプリケーションを構築できるようにする。
センサとBluemixをつなぐ通信環境として、3G/LTE、MQTT、HTTPなどに対応する。また、APIを通じて基幹システムとの連携も図るとしている。
こうした取り組みで構築する具体的なアプリケーションとして、自動車業界向けIoTソリューション「Watson IoT for Automotive」を基盤にアルパインと共同で自動運転時代を見据えた次世代車載システムの開発に着手することも発表した。
Watson経由で得た動的な情報をもとにドライバーや同乗者にあわせて快適なドライブを提供できるようにするという。利用者の嗜好やソーシャルメディアの情報を分析することで、システムが目的地を提案するといった活用も検討している。
Watson IoT事業部の事業部長を務める林健一郎氏
パートナープログラムを設けた理由として、日本IBMのWatson IoT事業部の事業部長を務める林健一郎氏は、IoT関連のソリューション開発には、ハードウェア、ソフトウェア、デバイスへの知見などが必要となるため「ビジネスパートナーと連携し、より早くソリューションを市場に出すのが重要であるため」と説明している。
発表時点で次の17社が参画を表明。アーム、アルパイン、アルプス電気、イサナドットネット、AIT、京セラ、ジェーエムエーシステムズ、ジェナ、セイノー情報サービス、日本テキサス・インスツルメンツ、日本情報通信、ぷらっとホーム、プロドローン、マクニカ、三菱電機、ユビキタス、リコー。年内100社の参画を目指している。
林氏によると、IBMはWatson IoTの本部をドイツのミュンヘンに開設する予定。営業担当者、アーキテクト、製品デザイナー、コンサルタントを含めて1000人が集まる。具体的な業種別ソリューションを顧客と一緒に考えるような取り組みも実施する。