IDC Japanは8月1日、国内の製造業および流通業界における、第3のプラットフォーム需要動向調査結果を発表した。2016年の製造業と流通業による第3のプラットフォームへの投資は前年比二桁成長を予測しているという。
国内製造業および流通業における、第3のプラットフォーム市場予測:2016年~2020年
同社では、国内の製造業および流通業における第3のプラットフォームへの投資について、他の産業と比較して高い成長率で推移し、国内第3のプラットフォーム市場をけん引していくとみている。2016年の製造業の第3のプラットフォームへの支出額は前年比成長率10.9%となる1兆2990億円を予測し、流通業は同12.0%の9215億円と予測した。
なお、ユーザー企業へのアンケート調査結果から、第3のプラットフォームの組織的な取り組み領域において、製造・流通の両分野とも、ビッグデータに加え産業ごとにニーズの高いテクノロジが相乗的に活用される構図が見られたという。「4ピラー」とも呼ばれる4つの主要技術(ビッグデータ/アナリティクス、クラウド、モビリティ、ソーシャル技術)の単独導入ではなく、技術領域の相互連携により、各産業における業務遂行や事業展開に第3のプラットフォームを活用する動きが加速していくと同社はみている。また、大手製造業の5割以上が「生産工程」と「保守領域」でIoTを導入と回答し、8割以上の大手流通業がオムニチャネルに取り組んでいるとの結果が出ている。
この調査では、2つの業界に事例も取り上げている。製造業の事例としては、半導体試験装置メーカーのアドバンテストが、IoT技術を搭載した「つながる製品」を新たな「従量課金型」のビジネスモデルの確立に活用している事例を取り上げた。また、流通業ではココカラファインの事例を通じて、第3のプラットフォームを活用し、新たな「カスタマーエクスペリエンス」の提供を推進するオムニチャネル戦略の社内リーダーがその能力を最大限に発揮できる体制を作ることが成功要因の一つであると、分析している。
IDCはITベンダーは4ピラー単独の事業展開ではなく、相互連携する第3のプラットフォームの専門家として、ユーザー企業が進む変革を支援するべきであると指摘。ユーザー企業は第3のプラットフォームの可能性を認識し、その迅速性や柔軟性を武器に、新しいビジネスモデルの展開を積極的に推し進めるべきでと分析している。