技術的な知識の必要なしにが攻撃できる無料のツールが急速に広まったことで、DDoS(分散サービス拒否)攻撃の数と規模が拡大しているという。
Arbor Networksによると、2016年の最初の6カ月間でDDoS攻撃の頻度と規模は拡大しており、大きなものとしては579Gbpsに達しているとのことだ。DDoS攻撃は企業のビジネスやオンラインサービスを中断させるのによく使われる手法で、接続要求のトラフィックを大量に送りつけることでサービスの負荷を超過させる。これにより、サーバは正当なトラフィックに応じることができなくなる。DDoS攻撃の損害は売上の機会損失、ユーザーへのサービス妨害などのダメージを与えるといわれている。
Arbor Networksが米国時間7月19日に発表したデータによると、過去18カ月間のDDoS攻撃の数は週平均12万4000回に達しているとのことだ。
2016年の最初の6カ月で、100Gbps以上の攻撃は274件を数える。2015年通年で223件だったことを考慮すると、かなりの増加といえる。2016年前半で200Gbpsを上回る攻撃は46件あり、これも2015年の16件と比べると増加している。
もっとも大規模なものは579Gbpsで、2015年の最大記録と比べると73%の増加となる。
「無料のツールや安価なオンラインサービスがあるおかげで、DDoSは今もよく使われる攻撃タイプだ。不満を持つ者がネット接続環境さえあれば攻撃を仕掛けることができ、これにより近年では攻撃の頻度、規模、複雑さが増している」とレポートには書かれている。
残念なことに、企業の多くにとって1GbpsのDDoS攻撃を受けただけでサービスはオフラインになってしまい、サービス障害と機会損失を被ることになる。2016年前半の平均的な攻撃の規模は986Mbpsで、これは2015年の平均を30%上回るものだ。2016年末にはこの数字が1.15Gbpsになると見込まれている。
DNSサーバの機能などを利用してトラフィックを増幅し、攻撃源をカモフラージュするリフレクター(アンプ)攻撃という手法があるが、すべての攻撃でこの手法が用いられているわけではない。世界のゲームサイトや政府機関の攻撃にも使われたサブスクリプションベースのDDoSツール「LizardStresser」は、この手法を用いずに、400Gbps規模の攻撃を実現している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。