ベリタス、中小向けバックアップソフト強化--仮想マシンのリストア時間を短縮

日川佳三

2016-08-03 16:33

 ベリタステクノロジーズは8月3日、中小企業に向いたデータバックアップソフト「Backup Exec 15」の最新の機能強化パッチ「Feature Pack 5」を発表した。国内では8月2日から提供している。今回の機能強化では、仮想サーバのリストア時間を大幅に短縮する機能と「Amazon S3」互換ストレージへのバックアップ機能を追加した。

 Backup Execは、専任のシステム管理者がいない中小企業でも簡単に使えることを追求したデータバックアップソフト。業務サーバのデータなどをネットワークを介して、あらかじめ設定したスケジュールにのっとってバックアップする。システム障害発生時などには、バックアップ済みのデータをリストアすることでデータを復旧する。

 仮想サーバ環境(vSphereやHyper-V)のバックアップも可能。仮想サーバのイメージをバックアップ、リストアできる。仮想サーバのバックアップイメージからファイルやアプリケーションデータの単位でデータを抽出することも可能。災害復旧(DR)時には、物理サーバ環境のシステムイメージを仮想サーバ環境に復元することも可能だ。

 最新は、2015年4月に出荷したBackup Exec 15。同バージョンのハイライトは、S3とGlacierにバックアップできるようにしたこと。まずは、受け取ったデータをS3に転送するゲートウェイソフト「AWS Storage Gateway」に標準で対応した。その後のFeature Pack 2でBackup Execから直接S3にデータをバックアップするコネクタを用意した。

仮想マシンの即時起動でリカバリ時間を短縮

 今回は、Backup Exec 15に対する5回めの機能強化に当たる。

 強化点の1つは、仮想マシンのリカバリ時間を短縮するインスタントリカバリ機能だ(図1)。従来はまず、バックアップストレージから仮想環境のストレージへと仮想マシンイメージをリカバリしてから、仮想マシンを起動していた。このため、リカバリまでの時間がかかっていた。

図1:仮想マシンのリカバリ時間を短縮するインスタントリカバリ機能の概要。バックアップストレージ上にある仮想マシンイメージを使って、仮想マシンを直接起動する。起動後にストレージ間で仮想マシンイメージを移動する
図1:仮想マシンのリカバリ時間を短縮するインスタントリカバリ機能の概要。バックアップストレージ上にある仮想マシンイメージを使って、仮想マシンを直接起動する。起動後にストレージ間で仮想マシンイメージを移動する

 これに対して新機能では、仮想環境からバックアップストレージをNFSまたはCIFS/SMBでマウントし、バックアップストレージ上にある仮想マシンイメージを直接起動する。仮想マシンを起動させた後にvSphereのStorage vMotion機能やHyper-Vのライブマイグレーション機能で仮想マシンイメージをストレージ間で移動させる。

 機能強化のポイントは2つある。従来は、仮想環境からバックアップストレージをマウントしても、そのままでは仮想マシンイメージにアクセスできなかった。これを改めた。さらに、インスタントリカバリのためのGUIを整備し、これを使うだけで誰でも簡単に仮想環境に触ることなく仮想マシンのインスタントリカバリを実行できるようにした(図2)。

図2:インスタントリカバリ機能のGUI画面。仮想環境に触ることなく、誰でも簡単に仮想マシンのインスタントリカバリを実行できる
図2:インスタントリカバリ機能のGUI画面。仮想環境に触ることなく、誰でも簡単に仮想マシンのインスタントリカバリを実行できる
Veritas Technologies Backup Exec担当プロダクトマーケティング責任者 Andy Spencer氏
Veritas Technologies Backup Exec担当プロダクトマーケティング責任者 Andy Spencer氏

 Feature Pack 5の強化点の2つめは、Backup Execから直接S3にデータをバックアップするS3コネクタの改善だ。従来、同コネクタの接続先はS3に限られていた。今回の強化では、S3と同じウェブAPIで接続できるS3互換ストレージにも接続できるようにした。具体的には、接続先の情報(IPアドレスや認証情報などのパラメータ)をコマンドラインツールから自由に設定できるようにした。

クラウドへのデータ保管が今後3年で急伸

 ベリタスは、Backup Exec 15 Feature Pack 5の発表にあわせてバックアップに関するアンケート調査データも発表した。米Spiceworksに調査を依頼し、中小企業でITに関する意思決定に携わっている906人に6月にアンケートを実施した。

 日本企業の場合、現在どこにデータを保管しているかを聞いたところ、物理システムが58%、仮想システムが24%、クラウドベースが18%という結果だった。一方、3年後にどこに保管しているかを聞いたところ、クラウドが急伸し、物理システムが46%、仮想システムが27%、クラウドベースが27%となった。

 ただし、すべてのデータをクラウドに移せるわけではないこともアンケート調査に表れたという。日本の回答者は、機密データ、個人データ、財務データはクラウドに移せないとしている。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. クラウドコンピューティング

    生成 AI の真価を引き出すアプリケーション戦略--ユースケースから導くアプローチ

  2. セキュリティ

    セキュリティ担当者に贈る、従業員のリテラシーが測れる「情報セキュリティ理解度チェックテスト」

  3. セキュリティ

    クラウドネイティブ開発の要”API”--調査に見る「懸念されるリスク」と「セキュリティ対応策」

  4. セキュリティ

    5分で学ぶCIEMの基礎--なぜ今CIEM(クラウドインフラストラクチャ権限管理)が必要なのか?

  5. セキュリティ

    従業員のセキュリティ教育の成功に役立つ「従業員教育ToDoリスト」10ステップ

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]