OSSとビッグデータアナリティクス

競争優位性を実現するアナリティクスの2つの要因 - (page 4)

島田 茂(日本テラデータ)

2016-08-22 09:55

 ドイツのSiemensなどの事例を参考にすると、アナリティクスの成熟度が増すほど、データモデルやデータマネジメントの整備を進めており、ビジネステーマによっては、データ収集から整理・加工、モデル適用までの自動化が進んでいると考えられる(イメージ:図6) 。例えばカスタマー・ジャーニーや顧客満足度評価など。

図6
図6

 筆者は、アナリティクスに先立ってデータモデルを整備するべきだと主張しているわけでは決してない。アナリティクスを繰り返す過程の中で知り得たデータに関する知見やノウハウを積み上げて、別のアナリティクステーマに生かすというサイクルを構築には、データモデルの整備が有効かつ効果的と考えている。

 ビジネスにはスピードが求められると同時に、ノウハウをアセット化し、効率的に収益を上げることが求められる。つまり、アナリティクスで言えば、以下2つを両立することが重要である。

 短期的には、最新テクノロジーを取込み、迅速にモデル構築力を強化する。データを取り込み、レイト・バインディングしてアクセス、整理・加工して分析用データセットを作成する作業を容易に行えることである。

 長期的には、アナリティクス活動を経営資産化し、再利用による効率化を図ることだ。(資産化の例:図6)

最後に

 今回は、アナリティクスの醍醐味といえるモデル構築とシミュレーションについて解説した。

 また、アナリティクスを競争力の源泉とするための「データをアセット化する取り組み」としてデータモデルについて紹介した。OSSが認知度を上げるにつれ、データマネジメントの重要性は再認識されると筆者は考えている。

 次回は、分析結果の見える化、意味合い抽出についての解説と、OSSでの事例について紹介したい。

島田 茂
日本テラデータ プロフェッショナル・サービス本部 ビッグデータ分析ラボ 部長
プロフェッショナル・サービス本部ビッグデータ分析ラボを統括。過去には、先進ITソリューション・製品の研究開発を大手IT会社にて国内および国外(主に米国・英国)の研究所で従事。その後、グローバル企業における日本法人の営業経験を通じて、経営に興味が高まりOSSを普及させるベンチャー企業を設立。テラデータの新たなチャレンジに魅せられ日本テラデータに入社、ビッグデータ分析ラボ(通称BAL:バル)を立上げ、今に至る。島田氏のほか、共著者は次の3人。日本テラデータ ソリューション・セールス・スペシャリスト 長谷川 亮氏、プロフェッショナル・サービス本部 ビッグデータ分析ラボ コンサルタント 片瀬 友英氏、同コンサルタント 樫下 茂氏。

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