卒業生が語るDO-IT Japanで学んだこと
DO-IT Japanのスカラープログラムに参加した学生たち
シンポジウムでは、過去にDO-IT Japanのスカラープログラムに参加した数人も登壇し、自身の経験を語った。
スカラープログラム修了後、大学に進学し、4月に富士通へ新卒入社した女性は、聴覚障がいをもつ。「就職し、大人数のミーティングに参加する機会が増えた。聞き取れずにわからなかったことは自分から質問するが、ここではいかに会議の流れを切らずにキャッチアップするかをいつも考えている。そのためには、事前に自分の障がいについて、会議参加者に知っておいてもらうことが必要。DO-IT Japanで身に着けたことがここで生きている」
2015年のスカラープログラムに参加した男子学生は、書字障がいをもつ。大学入試に限らず、文字を書くことが求められる場面では毎回、自分の困難と必要な配慮を説明する必要がある。「“どうせ理解されない”と諦めていた時期もあったし、説明しても“なぜ書けないくせに読めるのか”と答えようがない質問が返ってこともある。それでも、説明して理解を求める必要があることをDO-IT Japanで学んだ」
中学生のときに突然読み書きができなくなった女子学生は現在、大学進学を目指し、PCを使って授業を受けている。DO-IT Japanで、スマートフォンのカメラで文字を撮影して音声読み上げをする方法を学んだ。新しいデバイスやテクノロジを味方につけることで、駅名などが読めるようになり、外出が可能になったという。「これまでは学校の中での困難ばかりに対処してきたが、DO-IT Japanで、学校の外に出たときに必要なことについて考えるようになった」
10年を支えた日本MS・富士通・ソフトバンク
DO-IT Japanの活動に対しては、日本マイクロソフト、富士通、ソフトバンクの3社が10年間継続して資金面、テクノロジ面で支援してきた。
シンポジウムに登壇した日本マイクロソフト 執行役員 最高技術責任者の榊原彰氏は、障がいのある人の学びや生活を変える新しいテクノロジとして、「Cognitive Services」を紹介した(下記動画)。「画像解析や動画認識、深層学習のテクノロジにより、“目の前にいる人が何をしているのか”や、“どんな表情をしているのか”といったことをコンピュータが認識して音声で教えてくれる。その誤認識率は人間より低い」(榊原氏)
今後のDO-IT Japanの活動についても、日本マイクロソフト、富士通、ソフトバンクの各社とも引き続き支援していく。