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人工知能(AI)

AI脅威論も存在--米主要IT企業によるAI連合設立への見方

怒賀新也 (編集部)

2016-09-30 13:11

 Amazon、Facebook、Google、IBM、Microsoft、Google傘下のDeepMindは現地時間の9月28日、人工知能(AI)に関する普及およびベストプラクティスを共有する非営利団体「Partnership on AI」の立ち上げを発表した。米国を代表する世界的IT企業が連合を組んで、AIの人類への貢献や安全性などへの認知を高めると宣言したことは、AIがいかに潜在的な可能性を持っているものかを物語る。

 このニュースには、ストレートな見方に加えて、いくつかの視点がある。ジャーナリストの松岡功氏は「取り組み自体は誰もが歓迎すべきもの。だが、これだけのメンバー企業が集まったことについて、やや政治的な意味合いも感じる」と第一印象を語る。

 あくまでも推測の話として「音頭取りが誰なのか気になる。今は見せていないのかもしれない。企業が前に立つことによって、派手に見せているのかもしれない。大学、ペンタゴン(米国防総省)などが入っていれば誰が実質的にリードしているのかが分かるのだが」と話している。

 「AIについてはさまざまな議論があり、美しい話とだけでとらえ切れない。欧州企業などが入っておらず、いかにも“アメリカ”を感じる印象もある。米大統領選との絡みなども、場合によってはあるかもしれない」(松岡氏)

 AIについて、米IT企業がそろって注力する一方で、米国内に悲観論があるのも事実だ。書籍『人工知能 人類最悪にして最後の発明(原題:Our Final Invention)』(ダイヤモンド社)で、著者でフリーテレビプロデューサーのJames Barrat氏は「私が本書を書いたのは人工知能が人類を絶滅に追いやるかもしれないと警告するためだ。このような壊滅的な結果は、単に起こる可能性があるというだけでなく、いますぐに慎重に慎重を期して備えをはじめておかないとほぼ間違いなく起こる」と記している。

 この書籍の米国での評価ははっきり分からないが、Amazon.comでのカスタマーレビュー数は9月30日現在で268件、平均5段階の4.1という高い数値を出している。ポジティブレビューは203、批判的レビューは65となっている。日本の大手出版社が日本語版を出していることからも、一定の認知度はありそうだ。

 ドキュメンタリー映画を作ってきたという筆者は、同書を書くに当たり、ロボティクス、インターネット検索、データマイニング、音声認識や顔認識などへ応用するための人工知能を開発する科学者たちに話を聞いたという。

 無数の応用法が考えられ、人類の在り方を根底から変える人間レベルの人工知能を開発しようとしている科学者、AI開発企業の技術担当責任者や国防省の極秘計画の技術顧問にも取材したとのこと。

 その上で「彼らはみな、こう確信している。未来、人々の生活を左右する重要な決定はすべて、機械か、機械によって知能を強化された人間の手で下されるようになると。それはいつのことなのか。多くの人は、自分が生きているうちにそのときは訪れると考えている」と記述している。

 株式の自動売買などで使われている分には問題ないが、ゆくゆくはAIがコンピュータに命を与え、別物に変えてしまうというのが書籍での主張だ。物事の決定におけるコンピュータへの支配権の移譲は友好的に行われるというのが現状の大方の見方ではあるものの、AIがその人間の理解の範囲を超えた技術的複雑性により、時に予測不能な振る舞いをすることが避けられない限り、友好的な範囲では収まらない――非常に悲観的なシナリオが描かれている――との見解だ。

 情報システムを論じるとき、便利さの裏側にあるセキュリティへの脅威について気にするのと同様に、AIについても、そのすばらしさとともに、存在しうる潜在的なリスクについて気にとめておく必要がある。

 Partnership on AI設立の背景には、米国におけるAIへのこうした見方に対応する目的もあるかもしれない。

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