あなたの会社のビジネスモデルは攻撃を受けている。しかも、その攻撃を仕掛けているのは、競合他社ではなく顧客だ。
筆者が所属するForrester Researchは3年前、市場に変化が起きつつあることを突き止めた。顧客の時代の到来だ。力は企業から、デジタル技術に詳しく、テクノロジを使いこなす顧客へと移っている。いまや、勝者と敗者を決めるのは顧客だ。Forresterのレポート「Empowered Customer Segmentation」によれば、オンラインで活動する米国成人の3分の1が、新鮮で魅力ある体験を求めている。これらの顧客は、その体験を求めて企業を移り歩く。この環境では、競争力を保つ唯一の戦略は、顧客体験にこだわることだ。
Forresterの「2017 Prediction Reports」では、企業が顧客満足にこだわる組織に変わる過程に焦点をあてている。毎年発表しているこの予想集では、ビジネス戦略、リーダーシップ、顧客体験、テクノロジの変化の観点から、変化の状況を検証するとともに、2017年に起きる重要なイベント、変化、トレンドを予想している。
以下では、レポートで示した16の予想のうち、3つの重要ポイントを紹介する。
- 顧客体験の次の波は、企業の業績に劇的な影響を与える。市場が顧客主導に変化することは、企業の生き残りに対する、差し迫った深刻な脅威となる。Forresterの調査は、顧客体験の質と売り上げの伸びに、明確な相関があることを示している。また、顧客のロイヤリティを高め支出を増やす中核的な要因は感情だと主張している。顧客体験の次の波は、これらの要素をつなぎあわせ、アナリティクス、テクノロジ、デザインを融合して、感情を引き出して親密な関係を強めるよう設計されており、売上に直結するものになる。
- 最高経営責任者(CEO)は、デジタル技術に詳しい人材を求めて人事を一新する。多くの企業や企業のリーダーシップチームは、顧客やテクノロジが急速に変化する市場に対応できない。この新しい市場ダイナミズムの中で舵取りを行い、変革を進めることへの圧力が高まるにつれ、取締役会やCEOは、顧客中心的なDNAとデジタル思考を持つ新たなリーダーシップチームを組織しようとするだろう。その結果、3人に1人の最高マーケティング責任者(CMO)が解雇され、デジタルビジネスや顧客満足へのこだわりを先導できない事業部門リーダーの交代が大量に起こる。近視眼的に古いタイプのITシステムを重視する従来型の最高情報責任者(CIO)は、システムを管理すると同時に、企業が顧客を獲得し、サービスを提供し、維持するためのテクノロジに重点を置いた新たなビジネステクノロジの課題に取り組むことができる、新たなタイプのCIOに取って代わられる。
- ビジネステクノロジの先駆者に追いつこうとする古いタイプの大企業が、少なくとも1社倒産する。スマートフォンなどのテクノロジは、顧客が力を獲得するための中心的な役割を果たした。そして今後は、企業がそれらの顧客にサービスを提供する力を獲得するために大きな役割を果たす。次の革命では再び状況が一変し、AI、バーチャルリアリティ、モノのインターネット(IoT)がその革命を代表する技術になる。多くの企業は2017年にチャットボットなどの会話的インターフェースの実験を行い、AmazonとGoogleの音声入力で利用できるデバイスは、顧客の家庭に早いペースで普及していくだろう。しかし、ビジネステクノロジに詳しくない企業が、少なくとも1社、世間の流れに追いつこうとして致命的なミスを冒すと予想される。レポートでは、Fortune 1000企業のうち1社が、セキュリティ侵害後の復旧計画が不十分であることが原因で、2017年中に倒産すると予想している。
詳細については、Forrester Researchのレポートを参照してほしい。このレポートには、企業経営者が顧客満足にこだわる戦略の予算を決め、優先順位を定め、計画を策定するために役立つ16の予想が収録されている。
本記事の著者Cliff Condon氏は、Forrester ResearchでB2Cマーケティングのプロフェッショナルを対象とした調査及び製品最高責任者を務めている。Condon氏のTwitterアカウントは@Cliff_Condonだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。