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調査

PaaSはさまざまな用途に沿った差別化が求められる--ノークリサーチ

NO BUDGET

2016-11-25 08:00

 ノークリサーチは11月21日、2016年の国内中堅・中小企業におけるPaaS活用の現状と今後のニーズに関する調査結果を発表した。

 本調査では、ハードウェアとミドルウェアをサービスとして利用し、アプリケーションは個別に導入/開発するものをPaaSと定義している。すなわちPaaSは、「機能が決められたアプリケーションを利用するSaaSよりも柔軟性が高く、ミドルウェアや開発フレームワークを用意する必要があるIaaSよりも手軽」であり、「業務において必要なアプリケーションだが、パッケージをカスタマイズしたり、SIerに独自開発システムとして委託するほど予算はかけられない」といった場合の手段として近年注目されている。

 特に昨今では、プログラミングを伴わずに業務システムを構築/運用できるPaaSに注目が集まっている。つまり、PaaSは単にハードウェアとミドルウェアをサービス化したものではなく、場合によってはユーザー企業が自ら業務システムを構築/運用できる基盤へと進化しつつある。


PaaSを利用して構築済み/構築予定のシステム用途(複数回答可)

 年商500億円未満の中堅・中小企業全体に対して、「PaaSを利用して構築済み/構築予定のシステム用途(複数回答可)」を尋ねた結果を示したのが上のグラフ。用途として最も多く挙げられているのは「ビジネスの新規開拓や刷新」であり、「業務システムを補完する取り組み」がそれに続いている。

 中堅・中小企業におけるPaaSは「既存の業務システムのクラウド移行手段」というよりも、「ビジネスの新規開拓/刷新」や「業務システムの補完による改善」を実現するための基盤としての用途が多いことが分かる。

業務シーンに基づくPaaS用途の整理が重要

 PaaSの詳細な用途を、「グループ1:ビジネスの新規開拓や刷新」「グループ2:Excelや紙文書による業務管理からの移行」「グループ3:業務システムを補完する取り組み」「グループ4:既存の業務システムからの移行」「グループ5:業務システムの新規構築」といったニーズ別に見ていくと、システム内容によって違いが見えてくる。

 下図は、年商500億円未満の中堅・中小企業全体におけるグループ4とグループ5のニーズ割合を比較したもの。詳細は省くが、例えば「システムC」では既存システムからの移行ニーズがあまり高くないのに対し、新規構築のニーズは相対的に高いことがわかる。このように既存/新規の違いによっても状況が異なってくる点に注意する必要がある。


5種類のシステムにおける、既存の業務システムからの移行(左)と、業務システムの新規構築(右)ニーズの差異

導入理由は個々のPaaSにより異なる

 本調査では、主要なPaaSの名称を具体的に挙げて、導入済み/導入予定のPaaSとその選択理由も尋ねており、それぞれのPaaSごとに選定理由も集計した。

 下図はその抜粋で、一部のPaaSについて、選択理由として列挙した項目のうち「データやアクセスの増加に応じてスケールアップできる」「導入済み業務システムパッケージと連携/併用できる」「ハードウェアを管理/運用する作業負担を解消できる」との回答割合をプロットしたものだ。ハードウェアの管理負担軽減では「Bluemix」、業務パッケージ連携では「kintone」など、それぞれのPaaSによって導入理由(=評価の高い項目)が異なっている。


最も重要なPaaS活用において導入済み/導入予定のPaaSを選んだ理由(複数回答可、抜粋)

「さまざまな仮想化ミドルウェアへの対応」よりも「オンプレミスに容易に移行できること」が重要

 中堅・中小企業がPaaS活用において抱えている課題や今後のニーズについては、PaaS活用に際して必須と考えられる事柄(今後のニーズ)などの質問を行っている。その中の一部を抜粋したのが下のグラフ。PaaSには単にミドルウェアをサービス化するだけでなく、「迅速で手軽なシステム開発ができる」という要素が求められてきている。それを示すのが「プログラミングをせずにアプリケーションが作成できる」のニーズだが、それに比べると「サードパーティ製のプラグインが豊富に提供されている」は回答割合がやや低い。

 サードパーティ製のプラグインの場合、PaaS本体の進化に追随して継続的な提供が保証されるかが懸念点として挙げられることが要因の一つだ。また「自社内設置型のシステムへ容易に移行できる」のように、既存の他システムとの密連携が必要になった場合などにはオンプレミス環境への移行を担保しておきたいというニーズもあり、「特定の仮想化ミドルウェアに依存していない」という項目より高い回答割合を示している。「ユーザ企業のコミュニティが活発である」や「販社/SIerのコミュニティが活発である」といったコミュニティの状況も、ユーザー企業にとっては重要な判断材料の一つとなる。


 調査は、同社が発行する「2016年版中堅・中小企業におけるPaaS活用の動向予測レポート」に向けて行われたもので、日本全国/全業種の500億円未満の中堅・中小企業において「情報システムの導入や運用/管理の作業を担当している」「情報システムに関する製品/サービスの選定または決裁の権限を有している」人物を対象とし、7月下旬に実施され、有効回答件数は700社。同社では、本調査の結果を踏まえ、PaaSはミドルウェアの単なるサービス化ではなくさまざまな用途に応じた差別化が求められるとした。

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