今後は運用の自動化にも--ベライゾンがITインフラの仮想化に注力する理由

日川佳三 2016年12月06日 07時30分

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 米Verizon Communications(日本法人はベライゾンジャパン)は、インフラ系システムインテグレーター(SIer)の側面を持った通信事業者だ。ネットワーク回線やデータセンター設備だけでなく、サーバやネットワークアプライアンス装置、さらに運用管理ソフトや運用管理サービスを含めたITインフラ基盤全体を従量制のクラウドサービスとして提供している。

 「仮想化技術を使えば、ITインフラ基盤をPay as you go(従量制)のサービスとして提供できる。これによって、ユーザー企業の事業展開のスピードを向上させられる」――。米Verizon Communicationsでプロダクトと新ビジネスを担当するバイスプレジデントを務めるShawn Hakl氏は、同社が仮想化技術に注力する理由をこう説明する。

Verizon Communications プロダクト&新ビジネス担当バイスプレジデント Shawn Hakl氏
Verizon Communications プロダクト&新ビジネス担当バイスプレジデント Shawn Hakl氏

 Verizon Communicationsは、仮想化技術によって、システムとネットワークの構築作業や運用作業を簡素化することを狙う。既存のサーバやネットワーク機器の資産を生かしながら、これらの上に仮想的なオーバーレイ(上位に被さる層)を作る方式だ。運用管理ソフトからSDN(ソフトウェア制御型のネットワーク)を構築したり、仮想アプライアンス型のネットワーク機器(NFV)をプロビジョニング(配備)したりできるようにしている。

 直近でも、いくつかのサービスを追加している。2015年10月には“SD-WAN(ソフトウェアで制御するWAN)”の製品を追加した。

 SD-WANとは、各拠点に専用のエッジデバイスを置き、ネットワーク構成や設定などをセンターの管理コンソールから集中制御できるようにした製品。2016年6月には、分析機能を持った運用監視ソフトをSaaS型で提供開始した。

 今後も、インフラの運用管理機能を拡充していく。2016年12月には、イベントを検知して自動でアクションを起こすなど、インフラの運用を自動化するための前提として、エンドポイントのインベントリ情報や性能データを収集して分析、可視化する機能を提供する。2017年には、障害の予兆検知に機械学習を活用するなど、運用の自動化を一歩進める予定だ。

データを収集してシステム全体を可視化、運用自動化を目指す

 今後の追加機能によってエンドポイントの可視化や運用の自動化を強化する背景には、企業ネットワークには大量のエンドポイントが接続されており、これらのデータを管理してシステム全体を可視化することが難しくなっているという状況がある。

 「エンドポイントのデータは複雑化しており、もはや個々のネットワーク機器に監視機能をプラグインするようなやり方では対処できない。運用管理ソフトを使ってエンドポイントのインベントリ情報や性能データをエンドトゥエンドで取得して管理するしかない」(Hakl氏)

 システム全体の稼働状況や性能を可視化できれば、運用の効率が上がる。例えば、システムリソース不足によって業務アプリケーションの性能が出ていない場合、別のデータセンターへと丸ごと移動させて性能を向上させられる。また、システムの正常な挙動をあらかじめ定義しておけば、システムが正常かどうかを確認でき、問題が起こる前に検知して対処できる。

 2016年12月には、運用を効率化する機能を高め、データセンター環境にプロビジョニングできる仮想アプライアンス(NFV)や仮想サーバをより汎用化する。現状では、Linuxの仮想化技術「KVM」に対して、通信業界の需要にあわせて構築した専用の仮想アプライアンスを配備していた。2016年12月からは汎用の仮想アプライアンスを配備できるようにする。

 仮想アプライアンスを実行させる物理サーバとしては、現状では「Cisco Unified Computing System(UCS)」「Juniper NFX250」など、Verizon Communicationsがあらかじめ用意したサーバを利用する。2017年には、コロケーションのようにユーザーがサーバを持ち込んで利用できるようにする。

ミレニアル世代に訴求するデジタル体験を仮想化技術で素早く提供

 仮想化技術によってビジネスのスピードアップを図る背景には、18歳から34歳の“ミレニアル世代(新千年紀世代、1980年代から2000年代初頭に生まれた若者)”に訴求しなければ企業のビジネスが成り立たないという状況がある。

 「ミレニアル層はデジタル技術が当たり前の世界に生まれてきた。企業の成長戦略を考えた場合、ミレニアル世代の意向を無視することはできない。デジタルビジネスでは、ミレニアル層が企業の購買意思決定に重要な位置を占めているからだ」(Hakl氏)

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 ミレニアル世代に訴求するためには、デジタル体験をいかに活用するかが重要になる。例えば、小売店舗では、販売時点情報管理(POS)システムや既存のサプライチェーン管理(SCM)の仕組みに加えて、無線LANなどのデジタル体験を提供する新たなチャネルを用意する必要がある。

 こうしたビジネス要件に応えるために、これまでの企業はハードウェアのネットワーク機器などを購入し、既存のベンダーに構築を頼んできた。しかし、こうした旧来のやり方ではコストが高くつくし、要件を実現するまでのスピードが遅いという課題があった。

 こうした課題に対して仮想化技術が解決策となるとHakl氏は力説する。仮想化技術を使えば、既存のサーバやネットワーク機器をそのまま活用しながら、ビジネスに必要な仮想的なサーバやネットワークをより早く構築できるというわけだ。

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