「刑事ドラマに出てくる、人物関係図を書いたホワイトボードのような使い方ができる。データ同士の複雑な関係性を視覚的に理解できる」――。
リスク管理のコンサルティングなどを手がけるエルテスは12月15日、ビッグデータを対話型の操作によって可視化するソフト「VizKey」を発表、同日に提供を開始した。価格は、1アカウントあたり年額100万円。開発会社はエストニアのReal Systems。
VizKeyは、ビッグデータに含まれる個々のデータ同士の関係性を、アイコン(個々のデータ)と線(つながり)によって図示するソフトだ。数値の羅列では見えない事実が、視覚的に把握できる。
データ同士の関係性をアイコンと線によって図示できる
マウスやキーボードによる対話型の操作によって、どのデータに着目するかなどを思い付いたその場でアドホックに指定できる。スタンドアロンでも動作するが、サーバ上で動作させて分析内容を複数ユーザーで共有する使い方もできる。
どのようなデータでも分析の対象にできる。典型的な用途は、お金の流れ、人間関係、アクセス履歴、通信記録などだ。異なる複数のデータソースを横断的に解析することも可能。データを取り込む際に、データの意味付けを施す。GUIを介して簡単に意味付けできる。
セブン銀行が不正口座との関係が深い口座の特定に利用
会見では、VizKeyの事例を3つ紹介した。1つは国内の先行事例で、セブン銀行がユーザー。資金の流れを可視化することによって、不正利用の疑いのある口座と関係の深い口座を特定する用途で使っている。データソースとして、銀行口座の属性情報と、取引情報を利用する。
2つめの事例は、サイバー攻撃の調査に使った例だ。IPアドレス/ドメイン名/管理者情報とマルウェア情報を分析し、ブロックすべきIPアドレス/ドメイン名のリストを生成している。3つめの事例は、中南米での麻薬捜査に使った例。船荷証券、通話記録、口座取引情報、ギャングのリストなどを使って容疑者を特定している。
会見では、デモンストレーションとして、電話の通話記録を可視化してみせた。データソースは、通話記録データと、電話番号の保持者情報を管理しているExcelデータの2つ。1つの電話番号を選んでアイコンとして画面上に配置し、電話番号間の通話履歴を図示した。
ある電話番号に着目して通話記録を図示したデモ画面
ある2人に共通する連絡先を図示したほか、通話履歴の図を時系列で変化させてみせた。
時系列の変化も図で表現できる
「サンプル抽出ではなく、全量データを対象にできるのがビッグデータ解析のメリット。サンプル調査はマーケティング用途には活用できるが、リスク調査には向かない。全量調査が可能なビッグデータ分析によって、漏れなくリスクを検知できるようになった」(エルテス代表取締役社長の菅原貴弘氏)
エルテス代表取締役の菅原貴弘氏