2017年になって、Microsoftのコネクテッドカー戦略には「Microsoft Connected Vehicle」という名称が与えられた。ただし、Microsoftの自動車戦略が変わったわけではない。
Microsoftの幹部は2016年に、「Windows」を自動車に組み込むことは重要ではないという考えを明らかにした。また、それが実現可能だとは考えていないとも述べている。
Microsoftは2016年のCESで、同社の新たなコネクテッドカー戦略について説明している。その目標は、「Windows Automotive」やその他の組み込み型Windowsの形で自動車にWindowsを搭載することではなく、「Office 365」や「Azure」などの、同社が提供するクラウドサービスに自動車を接続することだった。
CES 2017でも基本的な方向性は同じであり、他の関係企業もそれに倣っている。
Renaultと日産自動車は2016年9月に、次世代車種で多くのMicrosoftのクラウドサービスを利用する予定だと共同で発表した。米国時間1月10日、両社は今回のCESでもこの戦略について再び発表を行い、Microsoftのクラウドサービスをナビゲーション、予防保守、遠隔自動車監視に使用すると述べている。
BMWもCESで、Microsoftと協力関係を結び、「BMW Connected」でAzureをベースにしたスケーラブルなプラットフォームを構築すると発表した。将来的には、Microsoftのデジタルアシスタントである「Cortana」もこの取り組みに組み込まれる可能性がある。BMWの実際の表現は「MicrosoftのCortanaが家庭用PCやスマートフォンで実現している音声操作機能は、今後BMWの自動車でも利用できるようになる可能性がある」というものだ。現時点では、まだ可能性があるというところだろう。
またVolvo Carsは、90シリーズの新型モデルに「Skype for Business」を搭載すると述べている。同社は、将来Cortanaを使用することも検討している。このケースでも、Cortanaの採用は(まだ)本格的には確約されていない。
Microsoft自体が自動運転車事業に参入する予定はないようだ。
Microsoft Connected Vehicleプラットフォームは、(Microsoftによれば)「Microsoft Azureクラウド上に構築された一連のサービスであり、自動車メーカーが独自のコネクテッドドライブ体験を生み出すことを支援するよう設計」されている。
Microsoftの幹部は、Microsoft Connected Vehicleは「車載OSでも、『完成された製品』でもない」とブログ記事で述べている。
記事では、Microsoft Connected Vehicleは「クラウドを基盤として、パートナー企業が重要だとしている5つの核となるシナリオに対応することを目指して始まる、生きた機動的なプラットフォームであり、その5つのシナリオとは、予防保守、車内での生産性の向上、先進的なナビゲーション、顧客に関する知見の獲得、および自動運転機能構築の支援だ」と説明されている。同社は自動車向けとして考えられるサービスとして、Cortanaをはじめとして、「Dynamics 365」「Office 365」「Power BI」「Skype for Business」などを挙げている。
つまり、Microsoftが「Windows Automotive」を作るという方向性ではなく、同社は自動車向けにAzureとOffice 365のサービスをもたらそうとしているようだ。
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この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。