IDC Japanは2月7日、パブリッククラウドと企業拠点/データセンターを接続する目的で導入されるWANサービスの市場予測を発表した。同市場での「WANサービス」は、主にAWS Direct ConnectやMicrosoft Azure ExpressRouteなど、パブリッククラウド側が用意したプライベート接続用ゲートウェイに閉域接続するためのサービスを指す。
国内のサービスには、NTTコミュニケーションズのArcstar Universal One「Multi-Cloud Connect」オプション、KDDI Wide Area Virtual Switch 2の「AWSダイレクト接続」オプション、ソフトバンクの「ダイレクトアクセス for Microsoft Azure」などがある。
これによると、同市場は今後急拡大し、2016年〜2021年の年間平均成長率35.8%、2021年の市場規模は246億円と予測される。2016年の国内市場規模は53億円で、前年比成長率は72.1%。IDCでは、大手コンテンツ事業者などの大規模需要は一巡し、今後は一般企業が増加していくとしている。
国内パブリッククラウド接続用途WANサービス市場 売上額予測、2015年〜2021年
IDCでは、同市場の成長要因として、一般企業のパブリッククラウド利用用途が外部向けウェブサイト向けなどの限定的なものから、ミッションクリティカルなシステムへと広がっていることを挙げ、接続回線に広帯域と高い安定性も求められるようになることで、パブリッククラウドと接続するWANサービスの需要が増加していくとした。
また、今後は、企業拠点/データセンターからだけではなく、従業員のモバイル端末やパートナー企業といった多様な環境からのセキュアで安定した接続、また、パブリッククラウド上で提供されるアプリケーションの特性に応じた回線や接続ルートの使い分けが進むとしている。
IDC Japan コミュニケーションズ シニアマーケットアナリストの小野陽子氏はこのような変化について、「今後のWANサービスは、企業のパブリッククラウド接続の増加に伴って顕在化する接続元や接続回線に関する多様なニーズを柔軟に満たす必要がある」と分析している。