米TechRepublicは、データアナリティクス企業Cambridge Analyticaの製品責任者にインタビューし、米大統領選における同社の役割と、エンタープライズアナリティクステクノロジの将来に向けたビジョンについて語ってもらった。Cambridge Analyticaは、Trump氏の勝利が、キャンペーン活動に従事した同社によるビッグデータ活用の成果だと吹聴したことで物議を醸している。
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米TechRepublicは最近の記事で、米ホワイトハウスの元テクノロジ担当者であるGerrit Lansing氏と、Trump氏のキャンペーンでソーシャルメディア戦略を担当していたGary Coby氏がそれぞれ、Cambridge Analyticaを非難するツイートを投稿したことを伝えた。両氏のツイートによると、Cambridge Analyticaは大統領選での自社の役割や、自社テクノロジの能力を誇張しているという。具体的には、Trump氏のFacebook広告戦略と、同氏のミシガン州およびフロリダ州での勝利を自社の手柄とした点が批判の対象となっている。
これらのツイートをきっかけに、政治や垂直業界におけるビッグデータの役割について激しい議論が巻き起こった。ビッグデータが2016年の大統領選で大きな役割を果たしたのは明らかであり、大きな選挙の後では政治データのイノベーションが大企業や中小企業に採用されることもしばしばある。政治関連のテクノロジを手がける企業の一部、特にNGP VANやTargeted Victoryといった、特定政党の支持者によって立ち上げられた新興企業は現在、米国における地方や地域の選挙に注力している。また、L2やCambridge Analyticaといったその他の企業は、自社のアナリティクス製品をメディアや金融、ヘルスケアといった垂直業界の企業に向けて展開している。
Cambridge Analyticaの最高経営責任者(CEO)Alexander Nix氏は2016年に、米TechRepublicとのインタビューで、同社は特定の政党を支持していないとあらためて述べていた。同氏は「我が社は根本的に、政治のうえではまったくどこにも肩入れしていない、特定の政治信条を持たない企業だ」と述べたうえで、「今回の大統領選では、共和党候補の数が多かったため、競争の激しい市場に参入できた」と語っていた。
Cambridge Analyticaは、ほぼすべての米国コンシューマーを網羅する、5000を超えるデータポイントが含まれたデータベースを保有しているという主張でも有名だ。もっとも、アナリティクス能力の素晴らしさを声高に語るビッグデータ企業は同社だけではない。しかし、本記事を執筆するにあたって話を聞いたほぼすべての企業が、ビッグデータは極めて強力である点に同意する一方で、「魔法のように聞こえるような主張」によってアナリティクスの真の価値が損なわれることに対する懸念を表明していた。
政治関連のテクノロジ業界に詳しいある人物は「効果を大げさにうたう不良品は、顧客の期待をあらぬ方向へと導くおそれがある」と述べるとともに、「イノベーションは、製品がきちんと機能してはじめて成功する。どの(ビジネス)分野でも、効果を誇張する企業が1社出てくるだけで、エコシステム全体に害が及ぼされる。市場に対する信頼が損なわれるのだ」と述べている。
Cambridge Analyticaは2月半ば、米TechRepublicとの間の30分にわたる電話でこうした主張に反論するとともに、大統領選で果たした役割を明確に述べた。しかし、インタビューの一部はオフレコ扱いだっため、われわれは同社の製品責任者であるMatthew Oczkowski氏に対して、前述の懸念に対する回答とともに、同社のテクノロジがどのように機能するのかを尋ねた。