米大統領選が話題である。Hillary Clintonが3回目の討論会も優位に進めたことで株価が上昇したりもした。しかし、大統領選の興味を持つのは、政治・経済な人たちだけで。こんな雑誌でも、アメリカ大統領選は巻頭特集なのだ。
『ムー』。
そう、『ムー』である。なぜか?
『ムー』11月号の巻頭特集は「アメリカ大統領と異星人の密約」。同誌によれば、Hillary Clintonは遊説先でこう発言したという。「大統領になったあかつきには、私はUFO問題を徹底的に追及するつもりだ!」(P16)
ことの真偽は不明だが、本当だとすれば、確かに『ムー』の読者にとっては一大事だ(ちなみに『ムー』の読者のことを“ムー民(むーみん)”と呼ぶらしい)。これまで謎に包まれていたUFO墜落事故、ロズウェル事件の真相が明らかになるかもしれないからだ。くだらないと言うなかれ。Business Insider誌では、先週こんなニュースが報じられている。
Astronomers reported 234 mysterious signals in space — and yes, it could be aliens(天文学者が宇宙空間からくる234の謎の信号を報告--エイリアンの可能性も)
2人の天文学者が250万の惑星を調査する中で234に及ぶ奇妙な光の明滅を見出した。何らかの知性体からのものである可能性があり、かつ、そうした信号が来るのはわれわれの太陽に類似した惑星からであるという。もちろん、さらなる調査が必要であるという前提であるが。
ところで人間の目は可視光と呼ばれる一定の波長の光しか見えず、その範囲の外にある光、例えば紫外線や赤外線は認識できない。そして、それは耳も同様だ。
つまり、人間の目には見えない光があり、耳には聞こえないが音がある。それを知らなくても生きてゆくことができるが、それを知ることによって開ける世界もある。そして、それは知ろうとしない限りは、決して知ることのない世界なのである。
ビジネスにおいても思わぬところから突然に脅威が訪れることがある。ウェブの検索サービスが広告ビジネスの巨人に姿を変えるとは誰も想像しなかっただろうし、Bitcoinというかつて怪しがられていた仮想通貨が、ブロックチェーンという要素技術に姿を変えて決済インフラになろうという状況を想像することは難しかった。今、成功したアントレプレナーたちが宇宙に目を向けるのも単なる偶然ではないかもしれない。
たまにはムー民になってみるのもいい気がしてきた。
ちなみに、Wikipediaによると、『ムー』は1979年発刊の超長寿雑誌である。愛読者の中には福山雅治、木村拓哉、鳩山由紀夫、上島竜平などの有名人も多いという。
11月号には、巻頭特集以外にも「知られざるブータンの雪男『ミゲ』『ミゲム』『ミチュン』」「サイババの『サトル ボディ』現る!!」「読者の投稿ページ『ムー民広場』」など興味深い記事が目白押しである。
あ~気になる。(敬称略)
飯田哲夫(Tetsuo Iida)
アマゾンウェブサービス ジャパンにて金融領域の事業開発を担当。大手SIerにて金融ソリューションの企画、ベンチャー投資、海外事業開発を担当した後、現職。金融革新同友会Finovators副代表理事。マンチェスタービジネススクール卒業。知る人ぞ知る現代美術教育の老舗「美学校」で学び、現在もアーティスト活動を続けている。報われることのない釣り師