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新型ATMと宇宙に乗り出す企業--イノベーションの“射程距離”を考える

飯田哲夫 (電通国際情報サービス)

2013-07-02 14:00

米国で巻き起こる新型ATMブーム

 米国では新型ATMの議論が活発だ。Bloomberg Businessweek誌によると、ある地方銀行は、ATMにスマートフォンをかざすことでお金が引き出せるサービスを実験中だ。JPMorgan Chaseは、タブレットの操作感をATMで再現し、Wells Fargoは、ATMのメニューを顧客ごとにカスタマイズできるようにした。リサーチ会社のTowerGroupが昨年の12月から今年の3月に行った調査によれば、対象金融機関のおよそ半数が2017年までにATMを置き換えるつもりであるという。

 この新型ATMブームの背景には、2つ大きな動きがある。1つは、ネットバンキングやモバイルバンキングの浸透に伴う店舗改革だ。振り込みや残高照会のような単純な取引はオンライン、あるいは高機能ATMへ誘導し、店舗は顧客アドバイスに特化させようという流れだ。

 そして、もう1つは、ユーザー志向の強いネット系の新興企業による金融サービスへの対抗だ。つまり、カスタマーエクスペリエンスを重視した金融サービスの必要性が高まっているということだ。

 先ほど挙げた米国地方銀行のシニアバイスプレジデントは言う。「銀行は若い世代にアピールするための投資を惜しむべきではない。今後われわれ銀行が競争するのはGoogleやPayPalなのだから」

そのときGoogleとPayPalは?

 では、競争相手として名指しされたGoogleとPayPalは、銀行がATM開発に躍起になっている時に何をやっているのだろうか? まさに同じタイミングで入って来たのは、PayPalによる宇宙空間での決済サービス構想だ。

 PayPalは、民間企業による宇宙旅行サービスが現実味を増す中、今後宇宙空間での決済サービスについて検討を進めるという。Virgin Galacticの宇宙旅行は来年に開始が予定されており、20万ドルの座席を予約した人の数は500人を上回っていると言われている。

 CNNによれば、PayPalは、宇宙観光ビジネスを具現化させるためには、宇宙空間における決済に関わる諸問題、つまりは通貨、リスク管理、不正対策、規制などさまざまなことを議論していく必要があると言う。

 一方のGoogleは、WIRED誌によると、惑星間インターネット通信の研究に取り組んでいるところだ。同社のチーフ インターネット エバンジェリストであるVint Cerf氏は、NASAとともに宇宙空間でのインターネット通信を可能とするプロトコルの開発を行っている。

 惑星の軌道、光の速度など地球上とは異なるさまざまな環境が従来のインターネットプロトコルをそのまま利用することは極めて困難であるため、宇宙空間を想定した新しいプロトコルの開発を行っているという。仮にPayPalを通じて宇宙空間で決済をしようと思えば、きっとGoogleの研究成果が生きてくるに違いない。

 銀行がGoogleやPayPalを将来の脅威と感じてATM改革に取り組む時、その競争相手と見なされた2社の思いは宇宙を駆け巡っているのである。

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