日本マイクロソフトは4月12日、データベースをはじめとしたデータ基盤について、独立系ソフトウェアベンダー(ISV)パートナー向け施策に関して説明する記者向けのセミナーを開催した。
企業システムのクラウド化や産業特化型クラウドの成長といった市場環境の変化、またOracle Databaseのライセンス価格上昇などに対応する競争上の事情などを背景に、SQL Serverなどをベースにソフトウェアを開発しているISVパートナー向けに「Azure SQL Virtual Machine」「Azure SQL Database」などのサービスを含めて、同社のプラットフォームを選択しやすくする。
具体的な支援策は「データベース移行支援」「マーケティング協業」の大きく2つに分かれる。
データベース移行支援で対象とするのは、ISVパッケージをマイクロソフトのデータ基盤に移行、もしくは対応する企業。パッケージの販売規模に応じて最大300万円相当を支援する。例えば、データベースにおけるオラクルからの移行を検討する「Oracle Migration Assesment」は50万円、アプリケーションの稼働環境を移行する「Application Migration Assesment」は150万円、概念実証(PoC)や性能検証、開発支援は100万~200万円、パフォーマンスチューニングやトラブルシューティングのスキルトランスファーは25万円相当と設定している。また、データベース移行の勉強会などは無償で実施できる
一方、マーケティング協業の対象は、上記の移行や対応を実施したISVパッケージソフトウェアのプロモーション費用だ。イベントへの協賛などは200万円、事例のマテリアル作成は50万円相当をそれぞれ支援する。
説明した日本マイクロソフトのクラウド&エンタープライズビジネス本部業執行役員 本部長の佐藤久氏は、ISVパートナーがマイクロソフトのプラットフォームを選択する理由として、オンプレミスとクラウドを混在させることが可能である点や多くのサービスが追加費用なしで使用できること、エディションごとにコードを分ける必要がない点、さらに今回提供する支援施策により、データベースの対応や移行が容易になることなどを挙げた。
業務アプリケーションの導入パターンにおいて、ピラミッドの頂点を含む領域が「スクラッチ開発」、その下の「SIパートナーソリューション」、さらにその下にある今回対象となる「ISV+SIパッケージ」市場シェアについて、佐藤氏は「2020年にはSQL ServerとAzure SQL Databaseを足したもので60%に達する」と話す。さらに、クラウド版データベースであるAzure SQL Databaseの比率がどこまで伸びるかが注目ポイントになってくる。
説明会では、実際にアプリケーションの基盤となるデータベースをSQL Serverに切り替えた製品として、富士通の中堅製造業向け生産管理システム「PRO-NES」を紹介した。20年以上の間に、国内外で2187システムが稼働するなど実績がある。
データベースをSQL Serverに切り替えた判断の理由として、海外サポートの充実、拡張性、セキュリティ強化につながる点を挙げている。特に、SQL Server向けの充実した海外サポートにより、グローバル市場への展開を見据えている。また、IoT、機械学習といったソフトウェアにより、顧客に新たな価値を提供できると説明している。
また、SCSKの統合顧客基盤「eMplex」は今回、これまでOracle DatabaseだけだったプラットフォームをSQL Serverにも対応させた。