IoTデバイスに感染するマルウェア「Hajime」について、Kasperskyは4月25日、感染規模が30万台に上るとの調査結果を明らかにした。イランやブラジル、ベトナム、ロシア、トルコでの感染が目立つとしている。
Hajimeは、2016年10月にRapidity Networksが報告。IoTデバイスに感染するマルウェアの「Mirai」と同様に、デフォルトのパスワードが設定されたままの脆弱なデバイスを標的にしている。しかし大規模な分散型サービス妨害(DDoS)攻撃を実行したMiraiとは異なり、攻撃は実行せず、感染デバイスに警告メッセージを表示するなどの特徴がみられる。
Kasperskyによれば、Hajimeは直近になってBroadband Forumが策定したエンドユーザーデバイスを遠隔で管理するためのプロトコル「TR-069」を利用するようになった。また、TelnetのデフォルトのパスワードやArris製のケーブルモデムのパスワードを使って、デバイスへのログインを試みる。
TR-069を使う攻撃では、NewNTPServer機能によって割り当てられているポート7547に接続し、HTTPのリクエストを送信。デバイスが脆弱な場合は、コマンドを実行され、ボットに感染してしまうという。
Kasperskyによると、同社が設置したハニーポットにおいてTelnetによるHajimeの感染攻撃が24時間で2593回観測された。うち2540件がユニークなIPアドレスから発信され、949件ではホストから攻撃のペイロード、528件ではポート80でウェブサーバが稼働していた。これらのIPアドレスの半数近くをベトナム、台湾、ブラジル、トルコが占め、感染デバイスはデジタルビデオレコーダーやウェブカメラ、ルータだった。
長期間中に観測された感染ホストは29万7499台に達し、国別では多い順にイラン(19.7%)、ブラジル(8.8%)、ベトナム(7.9%)、ロシア(7.5%)、トルコ(6.2%)、インド(5.5%)などとなっている。
kasperskyが観測したHajimeの感染国の内訳
Hajimeは、既に大量のIoTデバイスに感染を広げている点で、ボットネットを形成している状態にあるとみられている。しかしサイバー攻撃を実行せず、デバイスのユーザーにセキュリティ上の注意を呼び掛けるなど、Hajimeを開発した人間もしくは組織の意図は今なお分かっていない。