IBMは米国時間5月7日、新たなNVMeソリューションの開発を発表するとともに、より高速なデータ転送をサポートするための新プロトコルの採用を業界各社に促した。
同社はこの発表において、半導体素子を用いたデータストレージ向けの通信プロトコルが、データに対する今日のニーズを考慮して策定されていない、SASやSATAといった旧式の既存規格からNVMeという新たな規格に置き換わろうとしていると述べている。
ストレージはPCの発展とともに、フロッピーディスクや、レンガのような形状の外部記憶装置、数メガバイトのストレージがせいぜいであった時代から大きく進歩してきた。
現在、クラウドやビッグデータの利用が企業の間で一般的になっており、個人向けのストレージ機器もテラバイト級の製品が出てきているため、今までよりも大規模なデータ転送に耐えられるプロトコルの必要性が高まっている。
IBMはNVMeソリューションの発展によって「ストレージソリューションやストレージシステムとのデータのやり取りを高速化する取り組みにおいて、レイテンシを大きく引き下げる能力をクライアントに提供できる」ようになると考えている。また、ストレージ分野で強力な立場にある同社が新たなソリューションを開発することで、他のベンダーも後に続くだろうと予想している。
IBMによると、同社の開発者らはエンドツーエンドのストレージスタックに手を加え、新プロトコルをサポートする作業を既に開始しているという。これにより、データ転送時の遅延が低下するという点で、顧客のみならず、クラウドサービスや小売、銀行、旅行といった業界に恩恵がもたらされるという。
NVMeのデータ転送は、ボトルネックの原因となり得るような特定数のチャネルに依存するのではなく、ネットワーク機器間での並列処理で実現するというコンセプトに基づいている。
IBMによると、情報を必要とするアプリケーションから、そのデータを格納するフラッシュドライブに至るまでのストレージシステムのスタック全体を最適化することで、極めて低いレイテンシでのデータ処理が可能になるという。
IBMは既に「IBM Spectrum Scale」において、ocal read-only cache(LROC)l機能によってNVMeの能力を引き出している。なお同社は、NVMeワークグループの一員でもある。
同社は2018年の前半に一連のNVMeソリューションを市場に投入したいと考えている。
この発表とは別にIBMは2日、Verizonのプライベートクラウド事業からの撤退を受け、同事業を買収するとも発表している。
提供:IBM
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。