ベイラー医科大学の研究者チーム(TC4GA)が、西ナイルウィルスを媒介するネッタイイエカの12億文字のゲノムを構築した。この研究には、IBM、Mellanox、NVIDIAのテクノロジが利用されている。新しいゲノム構築により、ウィルスが伝播に用いる蚊の弱点を突き止め、西ナイルウィルス対策の強化を図ることが可能になった。
4月27日、IBMはTC4GAの成果を伝えるとともに、今回利用された高性能コンピューティングシステムの活用内容を伝えている。
VOLTRONと名付けられた高性能コンピューティングシステムは、IBM Power Systemsをベースとしており、幅広いデータ分析を必要とする研究に求められるスケーラブルなHPC性能を提供する。TC4GAは、米国エネルギー省オークリッジ国立研究所などによる、世界有数のスーパーコンピューティングコミュニティに参加しており、今回の研究にもVOLTRONを利用した。
TC4GAは、今回、VOLTRONの3Dアセンブリを活用し、DNAの折りたたみパターンによるゲノム探索(シーケンス)方法を採用した。これにより、細胞核を縦横に交差するゲノムを効率的に探し出すことができる。その結果、2〜3週間と1万ドル足らずでヒトゲノム計画と同等のゲノムシーケンスが可能になった。ヒトゲノム計画には10年の歳月と40億ドルのコストがかかっていた。
VOLTRONは、それぞれ8個のNVIDIA Tesla GPUを搭載した4つのシステムのクラスターで構成されている。Tesla GPUは、NVIDIAの技術者によってチューニング済みのものを利用した。
なお、TC4GAは、VOLTRONの能力を最大限に高めるために、Mellanoxのインターコネクト技術とアクセラレーションエンジンを利用している。また、IBMとNVIDIAのコラボレーションによって構築されたNVIDIA Teslaアクセラレーテッドコンピューティングプラットフォームも、TC4GAの研究を支援した。