Salesforce.comは米国時間5月17日、人工知能(AI)によるパーソナライゼーション機能の拡充を目的として、「Commerce Cloud Einstein」をアップデートすると発表した。同アップデートの特長として、注文管理ツールや、モバイルサイトの参照アーキテクチャに対する機能向上のほか、Googleの「Android Pay」に対する統合などを挙げることができる。

アップデートの概要は以下の通りだ。
- 「Commerce Cloud Einstein Predictive Sort」:これは機械学習アルゴリズムを用いることで、顧客の注文履歴やウェブ上での振る舞いから、Eコマースサイトの検索結果ページやカテゴリページに表示される製品のレイアウトをパーソナライズする機能だ。
- 「Commerce Cloud Order Management」:これにより小売業者は、顧客の要求に直結した、最も費用対効果の高い方法で在庫を確保できるようになる。同社によるとこれは、オンライン購入/店舗での受け取り、店舗からの発送といったシナリオで特に有用だという。
- 「Mobile Site Reference Architecture」(モバイルサイトの参照アーキテクチャ):これにより、モバイル機器によるショッピングエクスペリエンスを向上するためのベストプラクティスを適用した、すぐに利用できるモバイルウェブサイトの青写真が提供される。
- Android Payの統合:これにより「Salesforce Commerce Cloud」内で同モバイルウォレットサービスを提供できるようになる。
またSalesforceは、最新のCommerce Cloud機能に対応させるため、同社のゲーミフィケーションを取り入れたオンライン学習プラットフォームである「Salesforce Trailhead」もアップデートした。
同社におけるCommerce Cloud事業の最高経営責任者(CEO)Jeff Barnett氏は「ネットワークでつながったコンシューマーによって小売り分野には急激に破壊的な変化がもたらされており、ブランドはあらゆる場所でよりスマートでよりパーソナルなショッピングエクスペリエンスをもたらす必要に迫られている」と述べるとともに、「Commerce Cloud Einsteinは、あらゆる小売店のためにAIの敷居を低くし、すべてのやり取りにおいて顧客ロイヤリティの構築を強化するとともに、あらゆるチャネルを通じてコンバージョンを引き上げることで。こういった変革を加速させる」と述べた。
Commerce Cloud Einsteinは既に一般提供を開始しているものの、新機能は今後数カ月をかけて展開していく予定となっている。Einstein Predictive Sortの一般提供は7月、Mobile Site Reference Architectureの一般提供と、Android Payの統合は8月の予定だ。
2016年9月に提供が開始されたCommerce Cloudは、同社が買収したDemandwareの成果に基づいており、Demandwareの顧客ベースを構成する主要な小売業者をターゲットに据えたものとなっている。SalesforceはDemandwareを2016年6月に28億ドルで買収している。Salesforceの計画は、買収当時に語られていたように、より多くの業界でEコマースの利用が進んでいくとともに、小売業者を引き付け、事業を拡大していくというものだった。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。