サイバー空間を脅かすセキュリティ問題が大きくなる中、IBMが米国時間5月30日、サイバーセキュリティ人材の不足に対応するための取り組みを発表した。教育機関への投資や新しい雇用、人材育成モデルなどを打ち出している。情報セキュリティ担当の人材不足は深刻で、Frost&Sullivanの調査では、2022年までに情報セキュリティ人材が180万人不足すると予測している。
IBM Securityは次のような取り組みを明らかにした。
- Hacker Highschool、Pathways in Technology Early College High School(P-TECH)といった教育モデルへの投資
- 学位のみにフォーカスしたこれまでの雇用モデルからスキル、経験などに基づくより幅広い人材パイプラインにリーチするためアプローチの定義を進める
- サイバーセキュリティの人材モデルを再考するセキュリティ業界向けの戦略的な従業員アプローチ
従来の学習よりも実用的な教育を行う代替教育機関に投資するという。Hacker Highschoolを展開する非営利団体ISECOMとともに、10代の若者向けに今日のセキュリティプロフェッショナルに必要な実践的なテクニカルスキルやクリティカルシンキングを習得できるサイバーセキュリティコースを開設する計画などを明らかにしている。
また、現在の人材パイプラインから拡大し、幅広い人材をサイバーセキュリティ分野に取り込むことを目指す。2015年秋以降に米国で雇用されたIBM Securityの専門家らは、この「ニューカラー」のカテゴリに当てはまるという。「われわれが果たすべき重要なサイバーセキュリティの任務は、従来の4年制の技術的な学位を必要とするものではない」とIBM SecurityのゼネラルマネジャーMarc van Zadelhoff氏はコメントしている。
IBMの最高経営責任者(CEO)Ginni Rometty氏はこれまでに、(ブルーカラーやホワイトカラーに対して)「ニューカラー」として2万5000人を米国内で雇用する方針を明らかにしており、職業専門学校や退役軍人のプログラム、スキルに基づく認定などはサイバーセキュリティ人材の有効なリソースになりうるとの見通しを示している。
さらに、サイバーセキュリティのスキルギャップに対応するためのアプローチに関するホワイトペーパーを公開している。