ーー社内のカルチャー(社風)はどうか?分社後どのように変化した?
Whitman氏 社風を変えるという点で様々な取り組みがあるが、最大のことは分社化だ。これはとても大きかった。(HPE、HP、DXC、ソフトウェアの)4社とも自社の役割が分かっており、アジャイルに、敏捷になった。
現在、HPEの社員全員が戦略を語れるし、戦略実現のために自分の役割は何かが分かっている。
だが、2011年秋にCEOに就任した時は巨大なタンカーのような状態だったーー売上は1億1000万ドル、社員数は32万5000人、それに8万人の契約社員がおり、170カ国でオペレーションしており、VARと再販事業者は2万5000社だった。分社することで、より迅速に動ける企業になった。
われわれのコアバリューはイノベーションを中核に、行動によって物事を成し遂げる姿勢、提携優先の3つだが、社員にこのコアバリューは何かを知らせる取り組みを続けた。
今現在、HPE社員は全員このコアバリューを理解している。このコアバリューに沿って結果を出していない人は、会社を去らなければならない。フォーカスが強まっており、成果ベースのカルチャーになっている。
Neri氏 これまでとは違う方法でイノベーションを考えるようになった。企業の規模が大きい場合、製品ポートフォリオも大きく、フォーカスが明確ではなくなる。だが現在、HPEのイノベーションはイノベーションのためではなく、顧客に届ける成果は何かを考えている。
技術は”エネーブラー”でなければならない。HPEの開発者は、以前とは異なる才能とスキルセットで構成されている。顧客の問題を考える顧客中心アプローチを取っている。新しい技術をどうやってパッケージするかではない。
ーーHPEがハイブリッドクラウドにフォーカスする中、パブリッククラウドのAmazonは120億ドルを売り上げている。
Whitman氏 企業のデータセンターで、ワークロードがパブリッククラウドに移動しているのは間違いないトレンドだ。AWSの業績はそれを示唆したものだ。しかし、パブリッククラウドへの動きはスローダウンしていると思う。多くの人が”Cloud Cliff(クラウドの断崖)”に直面している。セキュリティ、管理が得られず、コスト高であることに気が付き始めている。
そのような顧客の多くは”ライトミックス(クラウドとオンプレミスの適切な組み合わせ)”を考え始めている。一旦パブリッククラウドにデータを入れてしまうと、出すのが難しい。HPEは、世界はハイブリッドになると考えている。アプリケーションはクラウドでも動くし、プライベートクラウド、オンプレミス、パブリッククラウドの組み合わせもできる。コンサンプションベースの価格モデルにより、クラウドと同じアドバンテージ、同じアジリティを持つオンプレミスを検討する企業は増えるだろう。
クラウドへのマイグレーションを横取りしようと思っていない。だが、われわれはクラウドトレンドを黙って見ているのではない。ハイブリッドITを実現する技術やサービスは4年前はなかったが、今は可能だ。われわれの見解が正しいことを、時間をかけて実証していく。
もう1つのフォーカスであるインテリジェントエッジでは、状況は全く異なる。データセンターは(パブリッククラウドという)プレッシャーがあるが、IoTエッジは違う。ここではデータは爆発しており、今後コンピューティングとストレージはエッジに移動すると予想している。
エッジに置くことで遅延がなくなり、セキュリティなどの問題も解消できるからだ。エッジからデータセンターにデータを移動して解析する時間はない。全てがコンピュートする時代では、リアルタイムの意思決定が重要だ。
このようにエッジは新しい市場だ。われわれは(IoTゲートウェイの)「Edgeline」でITとOTの融合を実現する。これは大きなチャンスになる。
このように、HPEには成長のための正しいポートフォリオがある。
ーー開発者向けの取り組みは?
Whitman氏 開発者がパブリッククラウドに魅力を感じていたのは、すぐに利用できる、ワークロードをスピンオフできる、簡単な決済、などの特徴からだ。Synergyはこのメリットをもたらす。われわれはここで大きなステップを取った。Synergyは開発者プラットフォームと言える。イベント中、最新プロジェクト「New Stack」も披露した。クラウドを含めた管理が可能で、CIOがライトミックスを考えるにあたって必要な部品がそろったと言える。
Neri氏 開発者はテストから運用までの時間を短縮したいと思っており、CIOはセキュリティ、ポリシー、ガバナンスなどを気にしている。SynergyはDevOps環境を事前統合しており、開発者はコードを一度書けばアプリケーションに必要なプロビジョニングをその場で行うことができる。
フレキシブルキャパシティサービスにより、使った分だけ払うことができる。HPEは競合優位なソリューションを提供し、利用をシンプルにすることを考えている。