Amazon Web Servicesの「Amazon Glacier」やGoogle Cloud Storageの「Nearline Storage」「Coldline Storage」のようなクラウドアーカイブサービスは、テープストレージに代わって長期保存のニーズに応えてきた。だが、IBMの科学者による画期的なテープストレージのおかげで、テープの需要はもう少し伸びるかもしれない。
IBM Researchの研究者らは、ソニーが試作したスパッタリング磁気テープに1平方インチ当たり201Gビットとなるデータを保存し、面記録密度の世界新記録を達成した。
磁気テープは、集積回路の製造プロセスの際に使われるものと同様のプロセスを利用して、バリウムフェライト(液体金属)を複数層に塗布して強化されている。2015年には、スパッタプロセスなしでこの金属を使って、1平方インチ当たり123Gビットのデータ保存を実現していた。
磁気テープを示すIBM ResearchのMark Lantz氏
提供:IBM Research
IBMによると、今回開発した技術なら、手のひらサイズの標準的なテープカートリッジに最大330テラバイトの非圧縮データを記録できるという。
この記録は、書籍約3億3000万冊分の情報量に相当し、IBMなどの磁気テープメーカーがテープの記録容量をおよそ2年に2倍のペースで増やし続けていくめどが立った。
テープは依然としてディスクよりも安上がりなため、例えば医療業界や金融業界の企業が、コンプライアンスのために保存を義務付けられている大量のビデオアーカイブや膨大な記録を保存するのに利用されている。
だが、GoogleやAmazonは、クラウドの方がテープライブラリよりもデータアクセスが高速で管理も容易な上、管理に掛かる経費の削減、対応フォーマットをめぐる不確実性の低減も可能だとして、アーカイブ市場を狙っている。
IBMは過去10年にわたり、磁気テープの記録密度を進歩させてきた。
提供:IBM Research
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。