アステラス製薬、つくば研究センターの15の研究棟をオール無線LAN化、IoT対応も

NO BUDGET

2017-08-30 12:20

 アステラス製薬は、新薬開発の中核拠点となるつくば研究センターの研究棟に、HPE Arubaの無線LANソリューションを導入し、オール無線LAN化した。モバイルファースト、IoTにも対応する高速かつ柔軟なネットワークとなり、設計や構築をSCSKが支援している。

 ネットワークは、Active-Active冗長化による40GbE化、IEEE802.11ac Wave2による高速無線LAN環境、アクセスポイント(AP)約330台の集中管理と接続の最適化が実施された。接続デバイスの状態やパフォーマンス可視化が図られている。これにより、約1700のクライアント端末が快適にアクセスできる環境が整備され、1月に運用を開始した。

 つくば研究センターは、19万1000平方メートルを超える広大な敷地に、15の研究棟がある。オフィススペースは14万6800平方メートルで、約1200人の研究員が開発に取り組んでいる。


アステラス製薬 つくば研究センターの新ネットワーク

 同センターでは、高精細なレントゲン画像によるガン細胞転移の解析、膨大なパターンの化合物の組み合わせの試行をはじめ、大量の実験データや画像・動画がネットワークを行き交う環境となっている。さらにPCに加えスマートフォンやタブレットPCの活用が進んできたことや、ネットワークに接続される実験機器や装置が増加したことから、帯域不足が懸念されるようになった。

 同社はこれまで、トラフィックの急増に対し、研究棟単位でスイッチを入れ替えるなどの方法で対処してきたが、抜本的な「バックボーン高速化」が不可欠と判断し、今回の刷新に踏み切った。また実験装置はVLANで切り分けた専用のネットワークに接続されていたが、データを他の部門で共有する場合、その度に手作業での対応が必要だったため、より「接続の容易性」を備えたシステムが強く望まれていた。

 今回の刷新で、Active-Active冗長化により広帯域と高可用性を同時に実現し、機器に障害が発生した場合でも、50ミリ秒以内での通信経路切り替えが可能となった。また、約330台採用されたHPE Aruba AP-325のAPにより、最大約7Gbpsの高速通信が可能なIEEE 802.11ac Wave2に対応できるようになった。複数ユーザーに同時に送信できるMU-MIMOが実装され、Dynamic Multicast Optimization(DMO)を利用したマルチキャストでの配信動画を快適に視聴できるようになった。

 さらに、「HPE Aruba 7210モビリティコントローラー」によってAPの集中管理とユーザーアクセスを最適化させ、チャネルと出力調整を自動的に最適化するARM(Adaptive Radio Management)機能や、トラフィック混雑時に動的な負荷分散を行い、安定的なパフォーマンスを発揮させるエアタイムフェアネス機能、クライアント接続とローミングをAP側で最適制御するClientMatchなども活用している。

 SSIDごとに認証を分けながら、ロールベースにファイアウォール機能、帯域制限機能等を使用できる柔軟なネットワークとなっているため、ユーザーが複数の研究棟を行き来する同センターでは、安全性と利便性が向上しているという。

 アステラス製薬は、今回の刷新で研究棟を行き来するユーザーのネットワークアクセスが快適になり、コミュニケーションの円滑化によって、ユーザーをデスクから解放してコラボレーションを促進しているとしている。また、いつでもSDN(Software Defined Networking)に移行できる環境も整い、今後6年間の研究開発を支えるインフラとしての要件をすべて満たすことができたと評価している。

 同社では、つくば研究センターで実証されたネットワークと同等の環境を、2020年までに他の拠点に展開していく計画。

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