ソフトバンク・テクノロジーは8月31日、7月に発生したマルウェアによる不正アクセスのインシデントについて最終報告を行った。発生当初に懸念された情報流出は確認されず、再発防止策に取り組むとしている。
このインシデントでは、同社の保守契約管理システムの検証サーバで仮想通貨を採掘するマルウェアが実行され、不正アクセスを検知した。これによって、検証サーバに置かれていた取引先情報の外部流出が懸念された。同月28日の二次報告の段階では、第三者機関による調査で流出の痕跡は認められないとしていたが、最終報告でもファイルやファイルが置かれたドライブにアクセスされた痕跡は確認されなかったとした。
不正アクセスの原因では、検証サーバがインターネットに接続可能であるにもかかわらず、不要なアカウントが存在し、アカウントのパスワードが脆弱だったこと、また、外部アクセス対策が適切ではなかったとし、ファイルの管理も不十分だった説明している。
不正アクセスを検知した後の対応では、不正な外部への通信を遮断し、セキュリティ運用チームと最高情報セキュリティ責任者(CISO)、CSIRTが調査と対応にあたった。情報流出が懸念された段階で、脅威情報調査室やマネージドセキュリティサービスのチーム、第三者機関による調査も行われた。
最終報告の時点で情報流出の事実は確認されず、取引先情報を利用された可能性などの報告もないという。
同社は8月31日までに、原因となった情報管理ポリシーや手順全体を点検し、不正アクセスへの対策として不要なアカウントの棚卸しと削除、パスワードの強化と定期的な監査の運用整備、アクセス制御ポリシーの見直しとシステム化を実施した。今後は、「二度とこのような事態が発生しないようにこれらの順守を徹底するとともに、さらなるセキュリティ対策と監査、また不正アクセスなどの早期発見と速やかな調査、対策を可能にするセキュリティ運用の強化に取り組む」と表明している。