Googleは、「Gmail」アカウントの乗っ取りなどに関する1年間にわたる調査の結果を発表した。フィッシングはデータ漏えいよりもはるかにユーザーに対するリスクが高いことが明らかにされている。フィッシングによってより多くの情報が収集されるためだという。
新たなデータ漏えい事件が発見されずに1週間が終わることはほとんどなく、複数のオンラインアカウントで同じユーザー名とパスワードを使用している場合は、アカウント乗っ取りの被害に遭うリスクにさらされている。
データ漏えいはインターネットユーザーにとって悪いニュースだが、Googleの調査結果によると、フィッシングの方が、アカウントの乗っ取りという点で同社のユーザーにとってはるかに危険な脅威であるという。
Googleはカリフォルニア大学バークリー校と共同で、公開されているハッカーフォーラムなどを対象に同社のウェブクローラを利用し、認証情報漏えいの危険性を調査した。非公開のハッカーフォーラムにもアクセスした。
データ漏えいによって、19億件もの認証情報がデータ漏えいによって無防備な状態となっており、MySpaceやAdobe、LinkedIn、Dropboxや複数の出会い系サイトに影響することが明らかとなった。認証情報の大多数は非公開フォーラムで取引されていた。
莫大な数ではあるが、データ漏えいで無防備な状態にある認証情報のうち、Gmailユーザーが現在使用しているパスワードと一致したのはわずか7%だった。一方、フィッシング攻撃で危険にさらされた認証情報の4分の1が現在のGoogleパスワードに一致した。
調査では、アカウントを乗っ取られるリスクを、任意のGoogleユーザーと比較して調べた。その結果、フィッシングの被害者は400倍も高かったのに対し、データ漏えいの被害者は10倍程度だった。この差は、いわゆる「フィッシングキット」が収集する情報の種類によって生じる。
フィッシングキットには、Gmailや米Yahoo、Hotmail、オンラインバンキングといった利用者の多い重要なサイトに合わせて、あらかじめパッケージ化された偽のログインページが含まれている。これらは往々にして、侵入されたサイトにアップロードされ、不正入手した認証情報を攻撃者のアカウントにメールで自動送信する。
フィッシングキットは、被害者の位置情報や秘密の質問、電話番号、デバイスの識別子といった、ユーザーのログイン時にGoogleがリスク評価で利用するのと同じ詳細情報を入手するので、アカウントの乗っ取りに成功する確率が高くなる。
調査では、約1万のフィッシングキットのうち、被害者の位置情報を収集しているのは83%で、電話番号を収集しているのは18%だった。電話の詳細や秘密の質問を収集するキーロガーは0.1%に満たない。
また、盗まれた認証情報を入手するのに利用されたGmailアカウントへ最後にサインインした際の位置情報に基づくと、フィッシングキットのユーザーのうち約41%はナイジェリアにいた。次に多いのは米国のフィッシングキットユーザーで、約11%を占めている。
フィッシングキットの約72%は、Gmailアカウントを利用して、入手した認証情報を攻撃者に送っていた。Yahooを利用しているケースは6.8%にとどまった。調査対象のフィッシングキットは、平均すると、有効と思われる認証情報を1週間につき23万4887件送信していた。
調査では、フィッシングの被害が最も多いのはGmailユーザーで、全体の約27%を占め、Yahooユーザーが12%でそれに続いた。YahooユーザーとHotmailユーザーは、認証情報流出の被害者が最も多く(ともに19%以上)、Gmailユーザーが約12%でそれに続いた。
調査チームは、2要素認証ならフィッシングの脅威を軽減できると述べる一方で、利用のしにくさが導入の障害だと認めている。
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この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。