関西テレビ放送(関テレ)は、局内ネットワーク基盤をSDN(Software-Defined Networking)で構築した。同基盤は2月から稼働している。
この取り組みはNECが手掛け、設計・進捗管理・移行作業はNECネッツエスアイとNECソリューションイノベータが担当した。
SDNは、ネットワークをソフトウェアで制御する技術。関テレは局内のネットワークインフラの更新タイミングに伴い、「情報系」と呼ばれる基幹ネットワークをSDNによって刷新し、柔軟なネットワーク機器の設定変更・拡張や、局員の管理負荷軽減を実現した。
ネットワーク構成イメージ
同局内のネットワークは、通信規格がIPに統一されている「情報系」と、さまざまな通信規格が混在する「放送系」がある。近年は用途に応じて構築してきたネットワークの構成が複雑化しており、ネットワーク管理の属人化リスクを高まっていた。このため、障害発生時の対応に時間を要したり、さらに特番などへの対応で設定を変更する際は都度業者へ委託する必要があるなど、時間、費用面、運用面での課題があった。
また番組の制御システムや収録、編集、伝送システムなど、放送系機器のIP化が進み、新たなネットワークの構築や「情報系」ネットワーク端末から「放送系」ネットワーク機器にアクセスしたいというニーズも生まれつつあることも、今回の取り組みの背景として挙げられている。
NECは、このようなことも踏まえ、「情報系」ネットワークの更新にとどまらず、将来的な「情報系」と「放送系」の統合の第一歩となる局内ネットワークを、半年間で構築した。
新しいネットワーク基盤は、SDNコントローラ2台、SDNスイッチ50台、エッジスイッチ40台などで構成されている。「情報系」と「放送系」の統合による柔軟な運用の実現を視野に、各フロアにもSDNスイッチを配備している。今後統合が実現した際も、両ネットワークは仮想ネットワーク(VTN)でセキュリティを担保しつつ、論理的に分離することができる。
「情報系」ネットワークの設定変更は、SDNコントローラからソフトウェアを用いて一元的に行えるため、急な特番編成などによる新しいネットワークの追加作業も、局員自身で容易に行えるようになった。また、ネットワークの物理構成と論理構成(VTN)、通信状態(トラフィックの流れや障害箇所)も日本語のGUI画面で把握可能で、障害発生時にも迅速に対応できる。