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インシデントをもたらすヒューマンエラー

第1章:人間は常にエラーを起こしている--そのメカニズム - (page 2)

熱海徹

2018-01-09 06:00

 その対策方法として私は、前日に職員の口から直接作業計画について作業レビューを行い、その中で作業者自ら考える「リスク」について何点か指摘してもらうことにしたのです。想定外の事態を事前にイメージし、その対応を考えさせる事でリスクを下げることに成功しました。また、それを繰り返し行うことで、管理する側も危機意識が向上し、想定外の事態にも冷静かつ的確に対処できるようになりました。工事担当者からは「作業前にシミュレーションをするので、気持ちが楽になり、作業に集中できるようになった」との感想が多く聞かれました。

 さらに、作業報告ではヒヤリ・ハットの経験を話してもらい、作業前と本番、事後の報告を確実に行うことで、「勘違い」「思い込み」のミスが起きるポイントが分かるようになってきました。常に自分が正しいのではなく、どうしたらルール通りにできるのかを真剣に考える事が重要なのです。

 たとえ小さな失敗による事故であっても、その事故は1つのエラーのみが原因となって発生しているのではなく、いくつものエラー(事象)がチェーンのように連鎖した結果として発生しています。発生した事故に対し、「誰の責任か?」を問うのではなく「誰が防ぐことができたか?」と問うことが再発防止の観点だと考えます。

 事故防止の思考回路は、「事故発生→何が起こったのか→誰がしたのか→処置→一件落着」ではなく、「何故起こったのか→どうすればよいか→対策はなにか」と、それをフィードバックすることが重要なのです。


 図の上部ではA作業中に失敗を見つけ、C作業では何も引きずることなく進んでいますが、図の下部では、A作業のミスを発見できないがためにC作業の段階ではミスが増幅された形になっています。どんなわずかなことでも、気になったら立ち止って確認する習慣が大切なのです。

 このわずかな違和感を抱けるかどうかがカギですが、次回は従来のヒューマンエラー対策が失敗する理由について触れてみたいと思います。


熱海 徹(あつみ とおる)
日本放送協会 情報システム局/ICT-ISAC事務局次長
1978年日本放送協会(NHK)入局。主に番組運行勤務、ハイビジョンスタジオ設備などの技術管理部門に従事。東京、仙台、山形の放送局を歴任し、山形局技術部長時代にはヒューマンエラー低減に向けた活動を展開し、放送人為事故の10年間無事故を達成した。2013年から情報システム局にて、主にネットワークの運用や情報セキュリティ対策グループの立ち上げ、部門統括を担当。2016年7月より、一般社団法人「ICT-ISAC-JPAN」に出向し、放送業界全体のセキュリティ対策を担当。セキュリティ関連の講演も数多く行っている。

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