本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、日本ヒューレット・パッカードの吉田仁志 代表取締役社長執行役員と、マカフィーの櫻井秀光 セールスエンジニアリング本部長の発言を紹介する。
「比類のないセキュアなネットワーク環境を提供したい」
(日本ヒューレット・パッカード 吉田仁志 代表取締役社長執行役員)
日本ヒューレット・パッカードの吉田仁志 代表取締役社長執行役員
日本ヒューレット・パッカードが先頃、米Hewlett Packard Enterprise(HPE)の1部門としてネットワーク事業を手掛けるArubaのソリューションに対応したセキュリティ製品群を体系化したフレームワーク「Aruba 360 Secure Fabric」を国内で本格展開すると発表した。吉田氏の冒頭の発言はその発表会見で、新たなフレームワークのインパクトを強調したものである。
Aruba 360 Secure Fabricはネットワークとセキュリティの両ソリューションを組み合わせることで、多層防御を実現するフレームワークである。大きな特徴はArubaのソリューションとともに、協業パートナーのセキュリティソリューションを組み合わせることができる強力なエコシステムを形成している点だ。(関連記事参照)
「360 Security Exchange Partner」と呼ぶパートナープログラムには、グローバルで既に100社以上のセキュリティ関連ベンダーが参画しており、日本でも今回、カーボン・ブラック・ジャパン、パロアルトネットワークス、マカフィーの3社との協業により、新たなフレームワークを本格展開する形となった。
会見には、カーボン・ブラック・ジャパンの西村雅博 カントリーマネージャー、パロアルトネットワークスのアリイ・ヒロシ 会長兼社長、マカフィーの山野修 社長と、3社のトップも顔をそろえ、「ArubaとのAruba 360 Secure Fabricでの協力により、日本の企業が抱えるセキュリティ上の課題解決がさらに促進されるものと確信している」(山野氏)といったように期待の声を寄せていた。
吉田氏は会見で、「ハイブリッドの時代が到来する」「インテリジェントエッジがIoT(Internet of Things)を加速する」「サービスがより一層重要なものとなる」とのHPEのビジョンを説明したうえで、「今回の新たなフレームワークはインテリジェントエッジの実現に向けた取り組みだ。パートナーとの協業によって、多層防御を実現するネットワークとセキュリティのソリューションをきめ細かく、かつシンプルに管理できる環境を提供していきたい」と語った。
そんな吉田氏に、会見の質疑応答で「今回の取り組みでHPEのネットワーク環境は、競合に比べて最もセキュアだと断言できるか」と聞いてみたところ、返ってきたのが冒頭の発言である。さらに、「ネットワークだけでなく、例えばサーバもチップレベルまでセキュリティを入れ込んでおり、インフラ全体のセキュリティレベルとしても、もはや競合はいないと考えている」とも。自信に満ちた同氏の表情が何とも印象的だった。
左から、カーボン・ブラック・ジャパンの西村雅博 カントリーマネージャー、パロアルトネットワークスのアリイ・ヒロシ 会長兼社長、マカフィーの山野修 社長、吉田氏