- この問題への対応には長い時間がかかる。Intelが脆弱性を持つ既存のCPUを修正するマイクロコードをリリースするまでは、この問題を解決するには、コンパイル時にソフトウェアベースの緩和策を組み込むか、CPUを交換するしかないと考えられた。幸い、修正コードが提供されることになったが、これらのコードの配布はハードウェアメーカーが行うことになっている。これには困難が伴う。サポート契約を結んでいる企業はこの問題を克服できるが、エンドユーザーシステムへの対応は困難を極めるだろう。これらのパッチの開発、配布、インストールの作業にはかなりの手間が掛かるはずだ。パッチが適用されていないシステムには、情報漏えいなどのリスクが残ることになる。多くのデバイスは業務や個人的な目的で使われているため、個人情報や企業の情報が、今後長い間リスクに晒されるだろう。
- OSベンダーが新たなヒーローとして登場した。OSはそれ自体がしばしば攻撃の対象となっており、OSベンダーは自社製品の脆弱性に対するパッチの開発に時間を費やしている。しかし今回のMeltdownのケースでは、MicrosoftやAppleが、自社のものではないプロセッサが原因の問題を緩和するソフトウェアアップデートを提供し、一躍ヒーローとなった。
今後への影響は?
今回の件は影響が大きいが、同様の問題は今後も起きる可能性がある。デジタル変革、ユビキタスコネクティビティ、個人化、SoEやSoIなどの新しい変化が、人々の相互作用のありかたを定義づけ、形作っていくはずだ。これらのシステムはハードウェアの上で動作し、ソフトウェアを実行し、これまでの人類の歴史にはなかったほど多くの情報を収集して利用するようになる。われわれが依存しているハードウェアやソフトウェアの多くが開発されたとき、セキュリティは必ずしも最優先の問題だとは考えられていなかった。今回の脆弱性が教えてくれるものがあるとすれば、それはハードウェアやソフトウェアを設計、構築、リリースする際に、セキュリティを軽視することで生じる影響の大きさだ。
今回の事態は、企業や消費者、政府が今後直面するサイバーセキュリティ危機の始まりにすぎない。人々がテクノロジを通じてより緊密につながり、関わりを深めていくにつれて、サイバーセキュリティの問題はより頻繁に起こるようになり、より深刻でダメージの大きなものになっていくだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。