クラウドコンピューティングへの転換点は企業によって異なっているため、個々の企業に応じて異なったアプローチが必要となる。
クラウドコンピューティングの利用を通じたデジタル変革は依然として発展途上にある。米調査会社Forrester Researchによると、クラウドはもはや安価なサーバやストレージではなく、革新的なアイデアを素晴らしいソフトウェアに迅速に変えるための素晴らしいプラットフォームになっているという。同社のバイスプレジデント兼プリンシパルアナリストであるDave Bartoletti氏の予測によると、クラウドは2018年を通じて、企業にとっての必須テクノロジとなるなかでその変革をあらゆるところで加速するという。
専門家らは12カ月前にこぞって、クラウドが2017年に転換点を迎えると述べていたことを考えれば、この主張は一部の人々に驚きをもって受け止められるかもしれない。しかし、米調査会社IDCの2017年7月の予測では、パブリッククラウドサービスへの支出が2017年に前年比25.4%増の1280億ドルに達するとされていた。その一方で、多くの組織は依然としてオンデマンドITの探求段階にあり、その後に控えている変革段階や開拓段階には至っていないことを示す証拠も存在している。
英国のIT調査会社QuocircaのアナリストであるClive Longbottom氏によると、業務部門のマネージャーは最高情報責任者(CIO)が針路決定でより強力なイニシアティブを発揮することを求めているという。同氏は、あまりにも多くの企業が依然としてストレージリソースやクラウドプラットフォームに無駄に大金を投じていると述べている。非IT部門の幹部は、クラウドの誇大な売り文句をふるいにかけたうえで、業務上の主な課題の解決にクラウドがどう役立つのかという疑問に対する答えを出すために尽力する必要がある。
Longbottom氏は「テクノロジは歴史から教訓を得るのが不得手だ。われわれは同じ問題を何度も繰り返す傾向がある」と述べるとともに、「IT部門は、『ノー』というだけの部門であってはならない。IT部門はクラウドを使いこなす必要がある。そしてCIOは、何が起こっているのかを理解していなければならない」と述べている。
Tullow Oilの元CIOであり、現在はデジタルコンサルタントを務めているAndrew Marks氏もLongbottom氏と同様に、クラウド市場の現状がまだら模様になっていると述べている。ハイブリッドコンピューティングは2017年にバズワードだったかもしれないが、将来の採用パターンがどうなるのか明確になっているとは言い難い。Marks氏は「まだ複雑すぎる」と述べたうえで、より多くの企業が探求段階から全面採用へという道を歩み続けるだろうと主張している。